映画化にぴったり、絶妙な原作チョイス
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実写の概念にとらわれない、アニメ出身の監督に注目!
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かつてドット絵だったポケモンたちが、スクリーンで表情豊かに躍動する姿には、思わずジーンときてしまうはず。改めて、彼らに命を吹き込むテクノロジーの進化に驚かされるが、人間とポケモンの共存はつまり、俳優とCGの共演によって実現するわけで、演出面でも実写の概念にとらわれない、自由な発想とバランス感覚が求められる。この条件を長編アニメ『シャーク・テイル』などで知られるロブ・レターマン監督は見事にクリア。本作でも持ち前のセンスを存分に発揮している。最近では、トラヴィス・ナイト監督(『KUBO/クボ 二本の弦の秘密の監督』)が『バンブルビー』を成功させており、アニメ出身監督の実写映画抜てきは今後、増えそうだ。
今後、どうなる? ますます増えるゲームの映画化
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冒頭でも触れたように、ゲームの映画化が成功したケースは非常にまれ(数々の迷作を生んだ1990年代は、ゲーム/映画、両方のファンにとってほろ苦い時代だ)。現在も「モンスターハンター」「ロックマン」「ダンスダンスレボリューション」といった有名タイトルの映画化が進行中で、期待と不安が入りまじる状況だけに、映画『名探偵ピカチュウ』が1つの基準として、観客や製作サイドにとって、良きサンプルになることを願いたい。同時に、ハリウッドによる実写映画をきっかけに、日本が世界に誇るゲーム文化が、改めて広く海外に発信されるなら、それもまた喜ばしいこと。日本の映画人が活躍のフィールドを世界に広げる好機にもなるはずだ。
『名探偵ピカチュウ』は5月3日(金)より日本先行公開。