2015年の長編映画『凱里ブルース』で彗星の如く現れた、中国の若き鬼才ビー・ガン監督の第2作目となる本作。2018年のカンヌ国際映画祭「ある視点部門」で初上映された後、トロント国際映画祭、サンセバスチャン国際映画祭、ニューヨーク映画祭など、世界の名だたる映画祭で絶賛され、中華圏映画のアカデミー賞とされる金馬奨でも撮影・音楽・音響の3部門を受賞。

ウォン・カーウァイの『欲望の翼』、アンドレイ・タルコフスキーの『ストーカー』、デヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』、アルフレッド・ヒッチコックの『めまい』などの映画作家とその作品との共通点を指摘する批評家が続出し、中国新時代の潮流の中にあって、その旗手的な存在として大きな注目を集めている。本国では名匠ジャ・ジャンクー監督『帰れない二人』の10億円を遥かに凌ぐ41億円のヒットとなった。
本作の見どころは、何と言っても後半部分に仕掛けられた、映画史上初ともいえる“上映の途中から展開される3Dのワンシークエンスショット”という演出。物語の中盤で劇中の主人公が映画館に入り、現実と記憶と夢が交錯する世界に入ると同時に、観客も3Dメガネを装着しそれを追体験できる。ビー・ガン監督独自の詩的で美しい映像表現と深く結びつき、これまでの3D映画では味わえなかった、未知の映像体験と世界観が広がる。

自分の過去を辿り迷宮の世界を彷徨う主人公の男を演じるのは、『長恨歌』のファン・ジエ。主人公を翻弄する運命の女を演じるのは『ラスト、コーション』のタン・ウェイ。また、キーパーソンとなる2人の女性をシルヴィア・チャンが演じるなど、中華圏を代表する豪華なキャスティングも見逃せない。

なお、本作に合わせ、これまで未公開だったビー・ガン監督の長編デビュー作『凱里ブルース』も2020年4月よりシアター・イメージフォーラムほかにて公開が決定している。新旧2作品の公開を記念して、“Begun, Bi Gan”と題した動画も公開されている。
『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』は2020年2月28日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿ピカデリーほか全国にて順次公開。
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