本作の主人公は、1人の人間の内側で、曜日ごとに入れ替わって暮らしている7人の“僕”。ほかの“曜日”とは、直接会うことはできず、日記を通してのみ間接的に互いを知っている。そのうちの最も地味でつまらない1人、通称“火曜日”の視点を通して物語が描かれていく。

火曜日の“僕”に、決してくるはずのない水曜日の朝が来てしまう…。そんな主人公を演じるのは、2018年にNHK連続テレビ小説「半分、青い。」に出演し、同年に「第5回Yahoo!検索大賞俳優部門」、「日経トレンディ」が選ぶ「2019年 来年の顔」に選出され、話題作への出演が相次ぐ中村倫也。

本作について、「完成した画が予想できない脚本でした。また自分が7役演じることも『やっかいだなあ~』と。笑 でもだからこそ、あまり類を観ない邦画になる期待感を抱きました」と率直な気持ちを告白。
「いくらでも大ごとにできる出来事をあくまで日常として描いていくささやかさに好感を持ちました。ザラッとした、じんわりと温かい手触りを残せる作品になっていると思います」と自信を覗かせた。
メガホンをとったのは、次の時代を担う気鋭の映像クリエイター100人を選出するプロジェクト「映像作家100人2019」に選ばれるなど注目を集める吉野耕平。数々の話題のCMやMVを手掛け、映画『君の名は。』ではCGクリエイターとして参加。今回、満を持して自身の完全オリジナル脚本で長編映画デビューを果たし、監督・脚本・VFXを全て自ら担当している。

吉野監督は「もしも自分の中に複数の人格があって…その中でも、つまらない“脇役”だったとしたら世界はどう見えるだろうか。ふと考えたそんな小さな空想からこの物語は始まりました」と着想の発端を明かす。「一人だけの自由でフワフワした空想が現実の世界で作品として形になる過程はスリリングで、その中で選んだもの、選ばなかったもの、色々なものがありました。でも、振り返れば大事なものだけはギュッと絞られ、きちんと全部残せたように思います」と、こちらも手応えを覗かせた。
また、観客へのメッセージとして「架空の物語が、時々現実の見方を変えてくれる、そんな瞬間が好きです。この作品が、誰かにとってそんな一本になってくれれば…と、強く願っています」とコメント。
プロデューサーは企画の成り立ちについて、「去年、監督が書いたわずか数行の本企画のメモに衝撃を受け、主演は中村倫也さん以外ではあり得ない作品だと思った」と話している。

『水曜日が消えた』の撮影は5月下旬から福島県いわき市で行われ、公開は2020年を予定している。