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【映画と仕事 vol.1】SNSを駆使した映画プロモーション コアなファンの“熱量”を見極め寄り添う

「映画業界」と言っても、製作から配給、宣伝、劇場、さらにはメディアまでお仕事の中身はいろいろ。シネマカフェでは「映画お仕事図鑑」と銘打って、そんな映画業界の“中の人”にインタビューを敢行し、詳しい仕事の内容、映画業界の内側を紹介する新連載をスタート!

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「映画お仕事図鑑 vol.1」東香瑠さん
「映画お仕事図鑑 vol.1」東香瑠さん 全 8 枚
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“拡散”とはファンの熱の広がりである



――その後、東さんはWEBプロモーションの中でも、特にSNSでの発信に特化した現在のチームに配属となります。このチームの発足自体に東さんが関わられたそうですね? そうした経緯についても教えてください。

私が入社した当初は、配給さんのSNSや映画の公式アカウントの運用をWEBパブリシティチームが兼任で担当していたんです。ただ、世の中でSNSの盛り上がりが大きくなっていくにつれて、映画のプロモーションでもSNSが欠かせない存在になっていき、これはパブリシティチームが兼任するのではなく、専任のチームを作った方がいいんじゃないか? と思いまして、会社に独立したチームを作ってはどうかと提案しました。

――具体的なお仕事は?

SNSの“何でも屋”なんですが、最初のうちは、映画の様々な解禁情報や新たな画像をSNS上に配信するという運用――いわゆるTwitterなどの“中の人”の仕事が中心でした。ただ、徐々にSNSが当たり前の存在になっていく中で、単に情報を更新するだけでなく、自分たちで企画を提案することが重要になってきました。

Twitterキャンペーンで「RT&フォローで抽選でサイン入りのポスターをプレゼント」とかですね。劇場やテレビでかかる予告とは違う、SNS用の特別映像を作ったりもします。

――もともとWEBが好きとのことでしたが、SNSも?

mixi全盛の時代からSNSは大好きでやっていたので、そういう意味でこの仕事は、自分にとっては天職かもしれないです。特に当初は、配給さんの中にも、そこまでSNSに精通した人が多くなかったこともあって、自分の中では「普通」の感覚の意見や提案を「あ、そういうものなんだ!」と受け入れていただくことも多くありました。

例えば「声優さんに参加いただく施策はSNS上で特に反響が大きいです」といった提案ですね。いまでは声優さんに積極的にパブリシティに参加していただくのは当たり前ですし、「あの洋画のナレーションをこの人気声優が担当する」といったニュースは、ネット上なら絶対に盛り上がりますが、当時はまだ“声優人気”が世の中に浸透していないこともあって、会議の場でも「?」という反応だったんですよね。

ファン目線の文脈であったり、Twitterやネットの文脈をわかった上で運用できるというのも、自分自身がオタクでネット民であるがゆえの強みでした。

――作品のジャンルやターゲット層などによっても、SNSとの相性というのはあると思います。SNSでのプロモーションをする上で気をつけていること、大事にしていることなどがあれば教えてください。

やはり、何より大切にしないといけないのは、コアなファン層の熱量ですよね。「拡散」という言い方をしますけど、それは、ファンの熱が広がっていくということですから。そのファンの熱量を大事にした企画をきちんと出していかないといけません。

当然ですが、どんなに面白い企画を考えても、SNSでそれを伝えてくれる人たちがいなければ、その施策は盛り上がりません。そこは掛け算なんですよね。

以前、担当したある作品は、人気漫画の実写化で第1弾、第2弾とシリーズ化されたんですが、そこには原作ファン、実写化の『1』でこの作品が好きになった人たち、さらにはキャストのファンと多くのファンがいるわけです。そこで第2弾に向けてのSNSの施策の方針は「コアなファンの期待、気持ちを高めること」でした。“みんなで投稿キャンペーン”的なことをしたり、公式アカウントからファンにリプライを返したり、SNS特有のファンとの相互関係をうまく活用しつつ、お祭り感を出して、実際、公開前にはTwitterのトレンド欄でも上位に来ていました。

コアなファンの方たちは、黙ってても勝手に盛り上がってくれるんじゃないかと思いがちなんですが、作品の一番の応援者だからこそ、その人たちのことを一番に考えて企画することが大事だと思います。

――なるほど。

“掛け算”という言い方をしましたが、逆に言うと、もともとそういう熱量を持ったコアなファンがいない作品に関しては、SNSの企画が必ずしも有効ではない場合もあります。まさに作品ごとの相性ですね。

――ひとつの作品がSNSを活用して成功すると「じゃあこっちの作品も同じようなことをしよう!」となりがちですが…。

何でもかんでもSNSで施策をやれば盛り上がるわけではないですし、作品ごとの魅力がどこにあるかを見極めることが大事です。場合によってはこちらから「この作品は、広告という形でターゲットを絞り込んで、映像を見せるようにした方がいいと思います」などと提案することもあります。ターゲットを絞って見てもらうというのは、TVではできない手法ですので、使い方によってはすごく有効なやり方だと思います。

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《photo / text:Naoki Kurozu》

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