市川進はハードボイルドを気取っているが、いまや全く原稿が採用されない時代遅れの作家。そんな彼には旧友・石田和行から依頼を請け負う伝説の殺し屋・サイレントキラーというもう一つの顔が。だが、彼自身はもっぱら狙う標的の行動をリサーチするだけで、実際の殺しは今西友也が行っていた。
ある日、石田が中国系のヒットマンから命を狙われ、市川にも身の危険が迫る。そんな市川の行動に不信を抱いた妻の弥生は、夫の浮気を疑って市川の立ち回り先を調べ始める。一方、市川はヒットマンを返り討ちにするため今西を探すが、見つけた今西は酔って仕事ができない状態。市川行きつけのバーに現れた弥生は、市川と旧知の女性・玉淀ひかるに夫との仲を問い詰めた。そこにやってきたヒットマン。そして一度も人を撃ったことがない殺し屋・市川が入ってきた…。
阪本監督が新たに描いた男は、昼間は妻にタジタジ、ハードボイルド気取りばかりでなんだか頼りない小説家、しかし夜になると伝説の殺し屋なのではと囁かれる人物。
昼と夜とで別の顔を持ち合わせるこの市川進/御前零児(ペンネーム)を演じるのは、今回18年ぶりの映画主演となる石橋さん。「昔僕たちが若い時代に作っていた映画のように、アイデアを出し合ってやれた現場でした」と撮影をふり返った石橋さんは、「夢を諦めながらも必死にしがみついていく我々世代の大人達の話です。言ってみれば、“昭和の時代の挽歌”というのでしょうか」「この映画は、お利口さんに生きる事ができず不器用で、でも心情的には熱いものがあって、時代に合わせて生きていく事ができない人間たちの物語です。それが昭和の人間の良さであり、”悪さ”とも思う」と本作を説明している。
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そして共演にも豪華俳優が決定。夫の夜の顔を知らずに生きてきたしっかり者の市川の妻・弥生役には、『顔』『大鹿村騒動記』の大楠さん。これまでも多くの阪本監督作品に出演をしている岸部さんが、市川に殺しを依頼する市川の学生時代からの旧友・石田和行役。市川と石田の旧友であり、かつてはミュージカル主演女優として活躍をしていた玉淀ひかる役には、今作が阪本組デビューとなる桃井さんが演じる。
なお、脚本は「探偵物語」シリーズや『野獣死すべし』の丸山昇一が担当。阪本監督とは『行きずりの街』(’10)以来、9年ぶりのタッグとなる。
『一度も撃ってません』は2020年4月、TOHOシネマズシャンテほか全国にて公開予定。