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アップリンク取締役・浅井隆氏、パワハラ訴訟の謝罪と対応を公表「ハラスメントであるという認識が欠けていた」

6月16日、有限会社アップリンクの取締役・浅井隆氏およびアップリンクを相手取り、5名の元従業員が実名でパワーハラスメントの損害賠償を求めて東京地裁に提訴した件で、先ほど、アップリンク側が浅井氏の署名で謝罪と今後の対応を公式HPにアップした。

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6月16日、有限会社アップリンクの取締役・浅井隆氏およびアップリンクを相手取り、5名の元従業員が実名でパワーハラスメントの損害賠償を求めて東京地裁に提訴した件で、先ほど、アップリンク側が浅井氏の署名で謝罪と今後の対応を公式HPにアップした。

16日にも短文で「元従業員からの訴訟について」とコメントを発表していたが、今回は改めて謝罪と詳細な対応が記された。まずは、「今回提訴した元従業員5名の方、そして、そのほかの元従業員、現在勤務している従業員の皆さんに対して、私のこれまでの言動に過ちがあったことを認め、傷つけたことを深く謝罪致します。また、これまでアップリンクを支えて下さったお客様、関係者の皆様にもお詫び申し上げます」と謝罪。

「コロナ禍で映画館の営業ができなかった時も、配信やチケットを購入してくださったり、寄付してくださったり、温かいお言葉をかけていただきました。そうしたお気持ちを裏切るような行動を深く反省し、今後決して繰り返さないよう、努めて参ります」と反省の言葉が続く。

同社は、1987年に浅井氏がアップリンク渋谷を立ち上げてからというもの、ここ2年で吉祥寺、京都と映画館を相次いでオープンさせるなど、現在は100人以上の従業員が在籍するまでに急成長している。

浅井氏は、「この2年間の急成長下、100人を超える従業員を擁する会社として、規模に応じた組織づくりを行なうことができていませんでした」と語り、「スタッフ1人1人に過大な負荷がかかる状況が常態化していました。アップリンク吉祥寺、京都のオープン時は、誰もが未経験の大きなプロジェクトであったにも関わらず、十分な研修もできずスタッフの負担は大きなものでした。研修を十分にせず、責任の重い仕事を任せ、スタッフに過度のプレッシャーを与えること自体がハラスメントにあたるという認識が自分に欠けていました」とコメント。

さらに「これまでにスタッフから何度も『これはハラスメントである』という指摘を受け、是正するよう言われてきました」といい、「そのたびに理解したつもりになっていましたが、理解できていませんでした。映画の配給宣伝、映画館の運営にあたり、毎日が本番で常にベストを尽くすという自分の考えがあり、それをスタッフにもして欲しいと思い、強いていました。そのため、その自分が考えるベストから遠いと感じた場合は、注意をしてきました。その注意が叱責となることも度々ありました」とハラスメントに言及。

「一番の自分自身の問題は、スタッフに対して人としての尊厳を傷つけていることに自覚がなかったことです。よい仕事をするには注意して直していくことが必要なのだ、その注意は、理不尽ではないと思っていました。力によって仕事をやらせようとする行為、それこそがパワー・ハラスメントであるという認識が欠けていました。自分自身のマネージメント能力の低さに他なりません。自分の経営者としての力不足、叱責によってスタッフを傷つけたこと、無理な采配で過度な負担をかけてきたことを、深く反省致します」と続いた。

今後の対応について
今後の対応としては、アップリンクの負債等を背負う浅井氏自身が退くのではなく、「自分自身と会社を変革し、ハラスメントのない会社、そして今まで以上に映画という文化、映画産業において、有意義かつ独自性の高い活動をしていく会社にする所存です。 その上で、今後の自分自身、会社をどう変えていくかについて、次のように考えています」と、以下の対応を表明した。

1)外部委員会の設置
社外の専門機関に、現在の社内の課題に関して調査を依頼します。徹底的に調査し現状を把握し、問題がある部分を改善し、コンプライアンスの徹底を致します。

2)通報制度・窓口の設置
今後のハラスメント防止対策として外部への通報制度の整備を行います。

3)社内体制の改革・スタッフとの定期的な協議
社内の組織体制整備、とくにマネージメントの体制を整えます。また、スタッフとの定期的な協議を行います。

4)取締役会の設置
現在、有限会社アップリンクの取締役は自分1名ですが、今後は、社内外含め複数の取締役で運営を行うべく準備中です。

5)セミナー、カウンセリングへの参加
叱責、暴言などは、感情のコントロールがきかないことも要因だと思います。アンガーマネジメントなどのカウンセリングを受け、自身の問題解決に臨みます。また、私自身はもちろん、上司となる立場のスタッフにも研修を受けてもらい、徹底的なハラスメント撲滅に取り組みます。

さらに「最後に」として、「アップリンクは社会の均質化に抗うことを標榜してきました。スタッフは皆、そこに共感してくれた人たちです。今回、提訴にあたって、原告の皆さんが実名で顔を出して会見をしたことはとても覚悟のいることだったと思います。それを深く受け止め、心に刻みます。同時に、現職のスタッフ、これまで働いてくれたスタッフの訴えに耳を貸さなかったこと、わかったつもりになって、きちんと対応しなかったことを、深く反省しています。

そして、アップリンクを応援してくださった皆様に残念な思いをさせてしまい、大変申し訳ありませんでした。

会社の運営体制、職場環境を根本的に変えていくこと、そして、もう一度、皆様に応援していただけるアップリンクに生まれ変わることを、ここにお約束致します」という言葉で結ばれている。

アップリンク元従業員によるパワハラ被害の訴えとは…
同社元従業員の5名は、16日、被害者の会「UPLINK Workers’ Voices Against Harassment」を立ち上げ、浅井氏からこれまで受けてきたパワーハラスメントを裁判で訴えるという声明文を発表。元従業員5人のうち4人は実名を公表し、記者会見も行っている。


これには映画監督の深田晃司が「賛同します」と被害者の会を支持する立場を明らかにし、「ことはアップリンク、ミニシアターの問題だけではなく、映画業界全般の信頼と労働意識、自浄能力が今問われている」とのコメントを発表、深田監督が発起人のひとりであり、アップリンクも参加している「ミニシアター・エイド基金」も「(先の)謝罪文にある通り、『深く反省』し、『誠意をもって対応』していただきたいと考えます」との立場を表明していた。

《シネマカフェ編集部》

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