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次世代のスター&映画作家の宝庫…「A24」作品に注目

次世代を牽引するネクストブレイクスターや映画作家の宝庫である「A24」作品から、これまでとこれからの作品をピックアップ。

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『レディ・バード』(C)2017 InterActiveCorp Films, LLC./Merie Wallace, courtesy of A24/『ミッドサマー』 (C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved./『フェアウェル』(C)2019 BIG BEACH, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
『レディ・バード』(C)2017 InterActiveCorp Films, LLC./Merie Wallace, courtesy of A24/『ミッドサマー』 (C)2019 A24 FILMS LLC. All Rights Reserved./『フェアウェル』(C)2019 BIG BEACH, LLC. ALL RIGHTS RESERVED. 全 29 枚
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漆黒のスクリーン、白の幾何学的模様にシャッと斜線が入り「A24」のロゴが完成する瞬間は、「これから傑作が始まるぞ」とワクワクする至福のとき。監督の個性が色濃すぎる作品や先見性に溢れすぎる作品をいち早く買い付け、広く映画館で観られる機会を与えてくれるのは「A24」を大好きな理由だ。また、近年はHBOやNetflix、米Huluなどと組み、TVシリーズや配信作品の制作にも乗り出しており期待は尽きない。

思い返せば、2012年設立の「A24」が映画賞常連といわれるようになったのは2015~2016年あたりか。第88回アカデミー賞において全米配給した『ルーム』が作品賞、監督賞など4部門にノミネートされ、ブリー・ラーソンが主演女優賞を獲得。アリシア・ヴィキャンデルがAI搭載のヒューマノイドを演じた『エクス・マキナ』が『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』や『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を抑えて視覚効果賞を受賞した。

その後、ブリーはマーベルヒーローの“キャプテン・マーベル”になり、『リリーのすべて』でオスカーを獲得したアリシアは『トゥームレイダー』の“ララ・クロフト”になり、いまや2人は世界的スターとなった。

「A24」のクリエイティビティや作品選択眼のセンスは映画ファンなら誰もが認めるところだが、今回は次世代を牽引するネクストブレイクスターや映画作家の宝庫という観点から、独断と偏愛を若干交えつつ、これまでの作品とこれから日本公開を控える作品に注目してみた。

エマ・ワトソンの大変身『ブリングリング』(2013)


『ブリングリング』 -(C) 2013 Somewhere Else, LLC. All Rights Reserved.
2013年『スプリング・ブレイカーズ』に続いて成功を収めた本作は、日本では東京国際映画祭で初お披露目。パリス・ヒルトンらセレブの自宅に侵入し窃盗を働いていた実在のティーン窃盗団をソフィア・コッポラ監督が映画化。「ハリー・ポッター」シリーズのエマ・ワトソンが優等生イメージからの脱皮を図った。まるで反省の色を見せない彼女たちにあっけにとられながらも、その弾けっぷりが眩しい。


トム・ハーディほぼ一人芝居『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』(2014)




『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に沸いた2015年に日本公開された実験的なワンシチュエーション・サスペンス。トム・ハーディがBMVを運転する主人公を演じ、車内で交わされる電話での会話でのみ物語が進行する。トムの卓越した演技力を再確認でき、声だけながらトム・ホランドも出演。「TABOO/タブー」のスティーヴン・ナイトが監督。

「スター・ウォーズ」俳優も共演『エクス・マキナ』(2014)




アリシアを大ブレイクさせた本作は、2016年にようやく日本上陸。オスカー・アイザックがAI開発者役、ドーナル・グリーソンがプログラマー役で、さらには『ラ・ラ・ランド』のソノヤ・ミズノも出演。『わたしを離さないで』のアレックス・ガーランドが初監督し、その脚本はオスカーにもノミネート。ソノヤさんはその後、同監督の『アナイアレイションー全滅領域ー』「Devs」(原題)にも起用されている。


アダム・ドライバーがキュート『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(2015)




『マリッジ・ストーリー』のノア・バームバック監督によるヒューマンコメディ。ベン・スティラー&ナオミ・ワッツの40代夫婦とアダム&アマンダ・セイフライドの20代カップルの対比がシュールな笑いと悲哀を誘う。『フランシス・ハ』に続いて起用された、“カイロ・レン”以前の人なつこいアダムが貴重でキュート。


ジェイコブ・トレンブレイの稀有な才能『ルーム』(2015)




エマ・ドナヒューのベストセラー小説の映画化をいち早く買い付けて全米配給、その結果は周知のとおり。ブリーもさることながら、息子ジャックを演じたジェイコブ・トレンブレイも全米映画俳優組合賞にノミネートされるなど一躍、時の人に。『ワンダー 君は太陽』『ザ・プレデター』『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』『グッド・ボーイズ』など大活躍中。


アニャ・テイラー=ジョイに釘付け『ウィッチ』(2015)




17世紀、敬虔なキリスト教徒の一家で魔女と誤解されてしまう主人公を演じたアニャは、英国アカデミー賞のライジングスター賞にノミネートされるなど高い評価を受け、その後、M・ナイト・シャマラン監督『スプリット』『ミスター・ガラス』に出演。『New Mutants』(原題)も待機している。監督はサンダンス映画祭監督賞を受賞したロバート・エガースで、全編モノクロ35mmフィルムによる「A24」製作『The Lighthouse』(原題)も日本公開が待たれる。


ダニエル・ラドクリフ熱演!『スイス・アーミー・マン』(2016)




世界一有名な“魔法使い”を演じたダニエル・ラドクリフが死体役となって、ひとりの孤独な青年(ポール・ダノ)を救うことになるとは誰が想像しただろう。しかも、アウトドアの必需品スイス・アーミーナイフのごとく“多機能”とは…。これが長編デビューとなったCM界出身のダニエル・シャイナートとダニエル・クワンの“ダニエルズ”はサンダンス映画祭で監督賞を受賞、シャイナート監督が「A24」と再び組んださらにシュールな『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』は8月7日(金)より公開される。


ブランド力を押し上げた初製作映画『ムーンライト』(2016)




「A24」初の自社製作映画。バリー・ジェンキンス監督が自ら売り込んだという「プランBエンターテインメント」とのタッグとなった。低予算で、主要キャストはほぼ無名ながら賞レースを席巻し、アカデミー賞は作品賞ほか3冠。主人公“リトル”を演じたアレックス・ヒバートは『ブラックパンサー』、“10代シャロン”のアシュトン・サンダースは『イコライザー2』や『ネイティブ・サン~アメリカの息子~』(A24作品/劇場未公開)、“大人シャロン”のトレバンテ・ローズはNetflix映画『バード・ボックス』などに出演。「A24」×「プランB」の再タッグ作『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』が10月9日(金)より公開。


“カオナシ”に影響!?『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』(2017)




カンヌ国際映画祭「批評家週間」で上映された『セインツ-約束の果て-』のデヴィッド・ロウリー監督、ケイシー・アフレック&ルーニー・マーラが再結集。妻を遺して亡くなった男がシーツを被ったゴーストとなって彼女を見守る…そんな古典的手法でのファンタジックな物語かと思いきや、思いがけない着地がクセになる。ロウリー監督は『千と千尋の神隠し』にインスパイアされたとか。


ロバート・パティンソンの新境地『グッド・タイム』(2017)




『神様なんかくそくらえ』のジョシュア&ベニー・サフディ兄弟が「A24」と組み、ロバート・パティンソンを主人公のホワイトトラッシュの青年役に迎えたら唯一無二の傑作が生まれた。知的障がいを持つ主人公の弟を演じるのはベニー監督。さらにひと皮向けたパティンソンは「A24」作品『ハイ・ライフ』『The Lighthouse』や、『TENET テネット』『The Batman』(原題)などで躍進中。サフディ兄弟は続く『アンカット・ダイヤモンド』も好評を得た。


新星女優の無邪気さに注目『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017)




ディズニー・ワールドのすぐ近くのモーテルで母と共に暮らす6歳の少女の目線から貧困を描いた。『タンジェリン』のショーン・ベイカー監督が引き出した“新人”ブルックリン・プリンスの無垢なる表情、ウィレム・デフォーの管理人さんぶりは必見。ブルックリンはApple TV+の「レポーター・ガール」、マッケンジー・デイヴィスら共演の『The Turning』(原題)などで成長した姿を見せる。


バリー・コーガンに震撼…『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(2017)




『ロブスター』(A24配給/2015)でカンヌ審査員賞を受賞したヨルゴス・ランティモスが、コリン・ファレルを再び主演に迎えてさらに進化し、カンヌで脚本賞を獲得。コリン演じる医師に近づく少年を演じたバリー・コーガンの独特なパスタの食べ方は、決して誰も真似できない。バリーは『ダンケルク』や『アメリカン・アニマルズ』に出演、マーベルの『The Eternals』(原題)にも参加する。ランティモス監督はその後『女王陛下のお気に入り』を手がけた。


グレタ×シアーシャの傑作『レディ・バード』(2017)




『20センチュリー・ウーマン』(A24配給/2016)の赤髪の女性も魅力的だったグレタ・ガーウィグが、自伝的要素を取り入れた初監督作で大絶賛を浴び、アカデミー賞5部門にノミネート。グレタ監督にシアーシャ・ローナン、さらにティモシー・シャラメの黄金トリオはそのまま『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』に受け継がれた。“レディ・バード”の親友役ビーニー・フェルドスタインはオリヴィア・ワイルド監督の『ブック・スマート 卒業前夜のパーティーデビュー』で好演。


90年代が似合うティモシー『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』(2017)




『君の名前で僕を呼んで』『レディ・バード』などに続き、日本に上陸したティモシー・シャラメ主演の青春映画。1991年のある夏、所在なくドラッグ売買に手を染めてしまったティモシーが『イット・フォローズ』のマイカ・モンローと恋に落ちる。ティモシーが本作で放つアンニュイで刹那な輝きが好きな人は多いのでは? 監督のイライジャ・バイナムがこれがデビュー作。


チャーリー・プラマーという至宝『荒野にて』(2017)




『さざなみ』『WEEKEND ウィークエンド』のアンドリュー・ヘイ監督のもと主演を務めたチャーリー・プラマーは、ヴェネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)に輝いた。殺処分が決まった競走馬ピートと荒野を歩き続ける旅は内省的であり、試練の連続…。でも、『ゲティ家の身の代金』などに出演し、“スパイダーマン”の最終候補でもあったチャーリーの前途は明るい。最新作『Words on Bathroom Walls』(原題)では『WAVES/ウェイブス』のテイラー・ラッセルと共演。


ゼンデイヤがエミー賞初ノミネート!「ユーフォリア/EUPHORIA」(2019~)




「ゲーム・オブ・スローンズ」のHBOと「A24」が海外ドラマで最強タッグ! 製作総指揮にはラッパーのドレイクが名を連ね、デジタルネイティブのZ世代をゼンデイヤ、ハンター・シェーファー、アレクサ・デミー、バービー・フェレイラらが等身大で演じて話題に。シーズン2が決定しており、ドラッグ常用者を演じたゼンデイヤは本年度エミー賞に初ノミネートされた。


フローレンス・ピューで良かった!『ミッドサマー』(2019)




長編デビュー作『へレディタリー/継承』(A24製作/2018)が絶賛されたアリ・アスター監督による、姉妹作のような作品。日本でもSNSを中心に口コミで盛り上がりロングランヒット。『へレディタリー』ではトニ・コレットの熱演に注目が集まったが(アレックス・ウルフも素晴らしい)、本作ではアスター監督が惚れ込んだフローレンス・ピューが主人公ダニーを演じたからこそ、あの印象的なラストが生まれた。


俳優陣の熱量が凄まじい『WAVES/ウェイブス』(2019)




『イット・カムズ・アット・ナイト』(A24製作/2017)で注目を集めたトレイ・エドワード・シュルツ監督による“プレイリスト・ムービー”。起用された楽曲に想いを重ねる俳優陣、主演のケルヴィン・ハリソン・Jr.やテイラー・ラッセル、ルーカス・ヘッジズ、アレクサ・デミー、スターリング・K・ブラウンらの熱量に溢れたアンサンブルにも要注目。ケルヴィンは『イット・カムズ・アット・ナイト』でも監督と組んだ。


ジョナ・ヒルの初監督作『mid90s ミッドナインティーズ』(2018)




2度のアカデミー賞ノミネートを誇る俳優ジョナ・ヒルの監督デビュー作が、満を持して9月4日(金)より日本公開。監督自身の半自伝的ストーリーで13歳の少年がスケートボードを通して仲間たちと出会い、大人への扉を少しずつ開いていく。主人公の少年を『聖なる鹿殺し』のサニー・スリッチ、少年の兄役を『レディ・バード』『WAVES/ウェイブス』をはじめ、気鋭監督からのオファーが止まらないルーカス・ヘッジズが演じる。


初めて観るオークワフィナ『フェアウェル』(2019)




『オーシャンズ8』『クレイジー・リッチ!』の軽妙な演技が印象的なオークワフィナが、大好きな祖母に真実を伝えるか否かで葛藤する主人公を繊細に演じてゴールデン・グローブ賞主演女優賞(コメディ/ミュージカル部門)を受賞。ルル・ワン監督の実体験から生まれた本作にはAmazonStudioやNetflixなどが名乗りを上げたが、劇場公開を重視して「A24」が選ばれた。コロナ禍で延期となっていた日本公開は10月2日(金)に決定。本当に待ち遠しい!

《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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