>>『Daughters』あらすじ&キャストはこちらから
津田監督は、三吉さん演じる小春と阿部さん演じる彩乃が住むアパートの部屋の雰囲気が、映画全体のトーンとなっていくと考えていたため、選定と内装には十分な時間をかけたという。

半年以上の時間をかけて内装作業を行い、部屋の間取りを基に、監督は過去の様々な映画や写真集などからイメージとなる写真を大量にピックアップし、美術担当者と共有。リアリティを追求することよりも、「映画はどこかファンタジーであってほしい」という監督の意向のもと美術の方向性が定まっていった。

はじめにとりかかった壁紙はその部屋のカラーを決める重要な要素。小春の部屋はイエロー、彩乃の部屋はブルー、2人の共同スペースであるリビングは薄いグリーンの壁紙が使用されており、このカラーに合わせてそのほかのインテリアの選定をすすめられた。
小春と彩乃が2人でその部屋を作っていった感じが少しでも出るように、と壁紙貼りは美術担当者が自ら作業。そして、カーテンや2人のベッドシーツ、ソファーの生地にいたっては、本作に合わせて全て生地から選定し、裁縫している。

特にリビングの象徴的なモチーフとなっているソファーの生地は監督のお気に入りで、北欧から輸入された複雑な模様の生地を使用した。その後、美術プランナーも加わり、作成したCGイメージを基に家具や小物類が集められた。小物類の選定にあたり、小春と彩乃のキャラクターを監督以上に掘り下げていき、2人のカラーに合わせて「太陽」と「月」のモチーフが各部屋に散りばめられていった。

そして、クランクインの数日前からは、よりリアルな生活感を求めるため、スタッフ数名が実際に寝泊まりしながら小道具集めが行われ、部屋が完成したのは撮影の前日。監督と美術担当者、美術プランナーが細部にまで思い入れを込めた、2人の女性の生き様がつまった部屋にも注目だ。
『Daughters』は9月18日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。