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ペンシルベニアからニューヨークへ…2人の少女の瞳に映るロケ地『17歳の瞳に映る世界』

「言葉にならないぐらい揺さぶられた」「優れたシスターフッド映画」など、賞賛の声が続々と上がっている『17歳の瞳に映る世界』から、ロケ地となったペンシルベニア・シャモーキンとニューヨークのスポットを紹介。

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『17歳の瞳に映る世界』 (C)2020 FOCUS FEATURES, LLC. All Rights Reserved.
『17歳の瞳に映る世界』 (C)2020 FOCUS FEATURES, LLC. All Rights Reserved. 全 12 枚
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ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)、サンダンス映画祭2020ネオリアリズム賞受賞をはじめ、世界各国の映画賞を賑わせた『17歳の瞳に映る世界』が、先週7月16日(金)より公開。Web上には「やっと本当に素晴らしい映画を観れた」「沁み入る良さ」「傑作!!」「言葉にならないぐらい揺さぶられた」「優れたシスターフッド映画」など、賞賛の声が続々と上がっている。

今回は、本作のロケ地となった主人公オータムといとこのスカイラーが暮らすペンシルベニア・シャモーキンと、2人が訪れたニューヨークのスポットを紹介する。

>>『17歳の瞳に映る世界』あらすじ&キャストはこちらから

主人公たちが住む街のモデルは「時代をさかのぼるような気持ちに」


『17歳の瞳に映る世界』 (C)2020 FOCUS FEATURES, LLC. All Rights Reserved.
映画本編内で主人公たちの暮らす町として「ペンシルベニアのエレンズボロ」というセリフがあるが、これは架空の町。モデルとなったのは、ペンシルベニア州ノーサンバーランド郡シャモーキン。「脚本を書く際に土地柄は大事」と語るエリザ・ヒットマン監督は、ペンシルベニアを舞台に選んだ理由として「ニューヨークからたった2~3時間の距離ですが、時代をさかのぼるような気持ちになります。石炭業が盛んになるにつれ発展していきましたが、今や炭鉱は閉鎖され、こうした小さな町は無の中に置き去られているのです」と話す。

シャモーキンの街で行われた撮影では、町の人たちの協力が大きな助けに。プロデューサーのアデル・ロマンスキーは「物語の性質も性質ですし、そもそも保守的な町であるけれど、町の人々は私たちを温かく迎えてくれて、食料品店や学校といったロケーションを見つけるのを快く手伝ってくれたのです。これは、オータムがどんな町に暮らしているのか、その感じをつかむのに大いに助けになりました」と語った。

『17歳の瞳に映る世界』エリザ・ヒットマン監督 (C)2020 FOCUS FEATURES, LLC. All Rights Reserved.
ちなみに、オータムが尋ねるクリニックはクリスチャンによって運営されている「Crisis Pregnancy Center」という施設がモデルで、女性の職員が対応するが、中絶を思いとどまるよう説得する団体。経済的支援、育児支援、養子縁組などの情報を提供し、全米で約2300の施設が存在している。去年のバイデンvsトランプの米大統領選において、ペンシルベニアは中絶を女性の権利として認めるバイデンと中絶反対の立場をとるトランプで票がはっきりと分かれるほど、センシティブな土地柄といえる。

アメリカ中のバスが到着するポートオーソリティバスターミナル


『17歳の瞳に映る世界』 (C)2020 FOCUS FEATURES, LLC. All Rights Reserved.
主人公のオータムといとこのスカイラーは、シャモーキンから約5時間かけて、バスでニューヨークへ移動する。その玄関口となるポートオーソリティバスターミナルはアメリカ最大のバスターミナルで、平日は1日あたり平均して約7,000台のバスで20万人、年間では5,300万人を輸送する。24時間動いている地下鉄へも直結しており、泊まる場所のない2人が時間を潰したベンチ、バスで出会うジャスパーと訪れたファストフード店やボーリング場、カラオケもポートオーソリティ内にある。地下鉄ではストリートミュージシャンが常時演奏しており、思わずスカイラーが足を止め、体を揺らす場面も。

『17歳の瞳に映る世界』 (C)2020 FOCUS FEATURES, LLC. All Rights Reserved.
本編で少女2人は、重いスーツケースを懸命に運びながら、ポートオーソリティからニューヨーク中へ移動を続ける。これについて監督は「映画の中でニューヨークに来る人は、たいていニューヨークを好きになります。しかし実際のニューヨークは、移動しようと思うと厄介な街。私が捉えようと思ったのは、まさにそういう面でした」と話す。彼女たちの瞳を通して映るニューヨークの街は、まさに旅行者が経験するリアリティ溢れるニューヨークとなった。

『17歳の瞳に映る世界』 (C)2020 FOCUS FEATURES, LLC. All Rights Reserved.

泊まる場所のない2人が一晩過ごすチャイナタウンフェア


お金がなく泊まる場所のない2人は、夜を明かすためゲームセンターで過ごす。そのゲームセンターのモデルとなったのが、チャイナタウンフェア。1944年にオープンしたチャイナタウンフェアは、2011年に閉店。その後2012年に再オープンした。

なかでもオータムが劇中プレイする、ニワトリと対戦するTic-Tac-Toeゲーム(三目並べ)が有名で、2002年ごろ撤去されたが、幼少期にチャイナタウンフェアで実際にプレイした監督の希望により今回再現された。映画『恋に落ちて』(84)の中でもロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープが訪れ、Tic-Tac-Toeゲームをしている。地味なゲームを選んだオータムと対照的に、スカイラーが日本でもおなじみのダンスダンスレボリューションで踊るのも「それっぽい!」と膝を打つシーン。

中絶手術のために訪れるヘルスセンター


『17歳の瞳に映る世界』 (C)2020 FOCUS FEATURES, LLC. All Rights Reserved.
ニューヨークに到着したオータムは、2つのヘルスセンターを訪れることになる。撮影は実際にプランドペアレントフッド(全米家族計画連盟)の提供するニューヨーク州北部やペンシルベニアの複数のセンターで行われた。

オータムは2つめのヘルスセンターで中絶手術を受ける前に、診察室でカウンセラーから問診を受ける。病歴や性経験に関する質問から始まるこのシーンは、16ミリによる長回しの撮影、かつパーソナルな質問が続くため、緊張感のある撮影となることが予想された。

そこで監督は、少しでもオータム役シドニー・フラニガンの負担を減らすため、静かで落ち着ける部屋と時間を用意し、後半のシーンに集中できるよう質問には自身の家族のことを答えるよう伝えたという。キャストへ徹底的な配慮が行われ撮影されたこのシーンは、原題にもなった印象的なシーンでもある。

プランドペアレントフッド(全米家族計画連盟)とは?


世界的にリプロダクティブヘルス/ライツを提供する非営利団体のアメリカ支部。全米で約600の施設を運営している。マイノリティや生活困窮者の利用も多い。

『17歳の瞳に映る世界』はTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開中。

《シネマカフェ編集部》

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