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『tick, tick...BOOM!』『ディア・エヴァン・ハンセン』…注目のミュージカル映画

映画と音楽は、切っても切り離せない間柄。素晴らしい物語と素敵な曲が出会えば、テーマ音楽を聴くだけで映画の一場面が心に映し出され、いつでもどこでも作品世界へとトリップできる。

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Netflix映画『tick, tick...BOOM!:チック、チック...ブーン!』11月19日(金)より独占配信開始
Netflix映画『tick, tick...BOOM!:チック、チック...ブーン!』11月19日(金)より独占配信開始 全 8 枚
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映画と音楽は、切っても切り離せない間柄。素晴らしい物語と素敵な曲が出会えば、テーマ音楽を聴くだけで映画の一場面が心に映し出され、いつでもどこでも作品世界へとトリップできる。

そんな関係を、最大限に活かしているのがミュージカルだ。登場人物たちは、ほとばしる心情を曲に乗せて歌い上げる。私たちの心へと届くのは、抑えきれない喜びが、言いようのない怒りが、こらえきれない悲しみ、こみ上げてくる喜び。音楽という極めて原始的な表現手法だからこそ、その喜怒哀楽はパワフルにまっすぐ心に響いてくるのだ。


この秋、エモーショナルな良作が目白押し。さあ、素晴らしきミュージカルの世界へご一緒に。


リン=マニュエル・ミランダ初監督のミュージカル映画
『tick, tick...BOOM!』



『tick, tick...BOOM!(チック、チック…ブーン!)』は、数々の賞に輝き、今もなお熱狂的な支持を集める名作ミュージカル『RENT/レント』の生みの親である実在した作曲家、ジョナサン・ラーソンの自伝的物語の映画化だ。1990 年のニューヨーク―で、食堂のウェイターとして働きながら、ミュージカル作家を夢見ているジョナサンは、もうすぐ30歳。オリジナルのロック・ミュージカルは、もう8年もの間、書いては直し、書いては直しを繰り返している。この作品には価値があるのか、本当に完成するのか、単に時間を無駄にしているだけではないかという焦りと恐れが、時計の秒針の音を表現した“チック、チック”というタイトルで表現されている。夢を追い続けるには、志半ばで亡くなる仲間を涙で見送りながら、別の道を選ぶ者たちを横目で見つつ、周囲からのプレッシャーをよそに、自分を信じ続けるしかない。果たしてジョナサンは夢を掴むことができるのだろうか。

実際のジョナサンは、残念ながら『RENT/レント』のオフ・ブロードウェイ・プレビュー公演初日の1996年1月25日未明に35歳の若さで突然亡くなった。死後、『RENT/レント』で、ピューリッツァー賞、トニー賞など名だたる賞を受賞し、伝説的存在になっている。


ここに注目!


主演は、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズや『わたしを離さないで』『ハクソー・リッジ』で実力は証明済みのアンドリュー・ガーフィールド。本作では情感豊かな歌唱力で、夢と挫折、絶望と希望を抱える若者の心情を痛いほど歌い上げている。さらにはジョナサン・ラーソン本人にそっくりな点も必見だ。 監督のリン=マニュエル・ミランダにもぜひ注目を。作曲・作詞・出演した傑作ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』『ハミルトン』でピューリッツァー賞、グラミー賞、トミー賞などを受賞している“ミュージカル界が誇る天才”だ。本作では満を持して長編映画の初監督を務める。天才が、天才の物語をどう描くかも大きな見所だ。

Netflixにて11月12日(金)より一部劇場にて公開、11月19日(金)よりNetflixにて配信。


心震わす感涙ミュージカルを映画化
『ディア・エヴァン・ハンセン』




『ディア・エヴァン・ハンセン』はトニー賞、グラミー賞、エミー賞とエンタメ界の権威有る賞を軒並み受賞している話題のブロードウェイ・ミュージカルを映画化したもの。主人公は、友達がおらず家族にも心を開けずにいる孤独な高校生エヴァン・ハンセン。ある日、自分に宛てた“Dear Evan Hansen(親愛なるエヴァン・ハンセンへ)”から始まる手紙を、やはり孤独を抱えた同級生コナーに、小競り合いのなかうっかり持ち帰られてしまう。

後日、コナーは自ら命を絶ったことを知らされ衝撃を受ける。一方、手紙を見つけたコナーの両親は、息子とエヴァンが親友だったと勘違いしてしまう。何とか誤解を解こうとするものの、エヴァンが骨折の治療のために腕に付けているギプスには、コナーが以前書いたサインが残っていた。それを見たコナーの両親は、息子達は仲が良かったのだと確信。彼らの悲しみを知ったエヴァンは、もはや真実を告げることを諦め、自分たちは親友だったと「優しい嘘」をつく。そして、架空の思い出話を作り上げていく。やがてその「物語」が人々の感動を呼び、エヴァンの思いやりがSNSを通じて世界に広がっていったとき、孤独だった彼の人生は大きく変わってくのだった。


ここに注目!

孤独、自殺といったシリアスな社会的テーマを取り上げつつ、主人公が本当の自分に気づき自信を手にするまでを描き、人々に勇気を与えてきた本作。主人公のエヴァンを演じるのはブロードウェイ版で初代主役を演じ、トニー賞で主演男優賞に輝いたベン・プラットだ。透明感のある歌声で、若者ならではの不安や戸惑いが、希望と喜びへと姿を変えていく過程を見事に体現している。

エヴァンを支えるシングルマザーのハイディをオスカー俳優ジュリアン・ムーアが、コナーの母親シンシアをエイミー・アダムスが熱演。豪華俳優陣の競演も楽しめる。製作には『ラ・ラ・ランド』『グレイテスト・ショーマン』の音楽チームが集結。寂しさを抱える人々に向けた本作のテーマソング「You Will Be Found」はもちろん、映画版のために書き下ろされた楽曲も必聴だ。

11月26日(金)より全国にて公開。

ディズニー・アニメーション・スタジオが贈る、新作オリジナル・ミュージカル
『ミラベルと魔法だらけの家』



『ミラベルと魔法だらけの家』は、ディズニー・アニメーション・スタジオが大ヒット作『モアナと伝説の海』以来、4年振りに放つ新作オリジナル・ミュージカルだ。

南米コロンビアの奥地に暮らすミラベルは、魔法の力を持つ不思議な家に住んでいる。彼女の家族であるマドリガル家では、生まれた子供たちは一人一人が違った“魔法の才能(ギフト)”を家からプレゼントされていた。例えば、母のフリエッタは癒しの魔法を、姉のルイーサとイザベラはそれぞれが驚異的なパワーと花を咲かせる能力を持っている。いとこのアントニオは動物とコミュニケーションを取る力を贈られ、いつも沢山の動物に囲まれていた。ところが、ミラベルだけは“ギフト”をもらえずに大人に。楽しく暮らしながらも、なぜ自分だけが特別じゃないのかと考えることもしばしばだ。だが、世界から魔法が失われ始めた時、すべては一変。家の知られざる秘密が明らかになっていき、ミラベルだけが魔法を使えない理由が明かされていく。魔法が使えないからこそ、どんなこともできると気づくミラベルは、奇跡を起こす方法は魔法だけではないのだと、家族の危機を救うべく立ち上がるのだった。


ここに注目!

ヒロインのミラベルを誕生させたのは、アカデミー賞長編アニメーション賞はじめ数々の賞に輝く、バイロン・ハワードとジャレド・ブッシュの黄金コンビ。日本のみならず世界中で大ヒットした『ズートピア』以来、再びタッグを組んでいる。楽しい魔法の数々、南米ならではのカラフルな色使いなど、前作同様に目に楽しい要素が満載だ。

もちろん、音楽にも抜かりはない。ブロードウェイ・ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』や『ハミルトン』でトニー賞、グラミー賞など数々の賞を受賞しているリン=マニュエル・ミランダが楽曲を担当。何とすべてが新曲という豪華さだ。ディズニーの新ヒロイン、そして名作ミュージカルの誕生は見逃せない。

11月26日(金)より全国にて公開。

舞台でミュージカルを観ているかのような臨場感!
『Everybody’s Talking About Jamie ~ジェイミー~』



『Everybody’s Talking About Jamie ~ジェイミー~』は、実際に起きたストーリーに、歌と踊りを加えた感動のミュージカル。BBCのドキュメンタリーで紹介された実話を原作に、2017年に舞台版の初演を迎え、2021年に映像作品としてリリースされた。


英国シェフィールドに暮らすジェイミーはドラァグクイーンに憧れるゲイの高校生。両親は離婚していて、一番の理解者である母と暮らしている。学校では、イスラム教徒の秀才女子プリティと仲良しだ。頭が固く何かと目の敵にしてくる教師と、ゲイであることをからかう同級生には悩まされているけれど、そこそこ幸せに暮らしている。

卒業を目前にした16歳の誕生日に、母親から真っ赤なラメのハイヒールをプレゼントされたことで、ジェイミーはプロムにドラァグクイーンとして出席することを思いつく。勇気を出して地元の専門店“ハウス・オブ・ロコ”を訪ねると、そこには伝説のクイーン“ロコ・シャネル”だったヒューゴが。師匠となったヒューゴから、かつてクイーンたちが偏見と闘う戦士だったことを知らされるジェイミー。ドラァグクイーンとして舞台に立つことは単なるショーではない、革命なのだと悟った彼は、先輩達から受け継いだ情熱を胸に、プロムを目指すのだった。


ここに注目!


ショービズ界への憧れを抱くジェイミーの物語だけに、学食がクラブへと転換するなど、華やかな白昼夢のシーンが多く展開する本作。主人公が夢見る世界が頻繁に現実世界と入り交じり、終始エンターテイニング。舞台でミュージカルを観ているかのような臨場感を体感できるのも魅力のひとつだ。

個人的には、ジェイミーの師匠となるヒューゴが、ドラァグクイーンたちを始めとするLGBTQの戦士たちの人生「This Was Me」を歌って聴かせる場面に心を激しく揺さぶられた。情熱のトーチを受け取ったジェイミーを演じる新人マックス・ハーウッドと、ヒューゴを演じる名優リチャード・E・グラントとの、世代を超えた絆を感じさせる共演も見物だ。

AmazonPrimeVideoにて配信中。

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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