英国マンチェスターに住む、とある一般家庭の視点で2019年から2034年までの15年間の社会情勢をブラックユーモアたっぷりに風刺した海外ドラマ「2034 今そこにある未来」。本作で英首相役を演じたエマ・トンプソンと、本作のクリエイターで「ドクター・フー」「IT’S A SIN 哀しみの天使たち」を手掛けた脚本家ラッセル・T・デイヴィスのコメントが到着した。
「トランプ大統領二期目に再選」「IQスコアの低い国民から選挙権を剥奪する法案」など、英国流ブラックジョーク満載の過激な展開で世間を驚かせた本作。
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英国が正式にEU離脱する前の2019年5月に放送が始まると、金融破綻や異常気象、感染症の猛威、世界中の政情不安とそれに伴う難民の問題など、実際に起こりうると思わせる未来予測を交えつつ、社会情勢や政治がごく普通の市民にどんな影響を与えるかを辛辣に描き、米ワシントンポスト紙が「2019年最高傑作の1つ」と絶賛した一方、中国では放送禁止にもなった問題作だ。
「人々がなぜ彼女に投票しようと思うのか、その理由が伝わるようにしたかった」
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エマ・トンプソンが過激な発言を繰り返すトランプ前大統領を彷彿とさせる政治家ヴィヴィアン・ルックをコミカルに演じている点も見どころとなっている。まず、ラッセルが手掛けた脚本を読んだ感想について、エマは「彼の描くAIとの暮らし方をはじめ、サイエンスフィクションを取り入れた日常の様々な描写も並外れていますね」と語る。
「ヴィヴィアンのヴィジョンが現実となっていく様子や物語の前半で(主人公の)ライオンズ一家の人々が彼女をすごい人物だと思っている姿にとても恐ろしさと無情さを感じます。権力欲が強く、モラルが根本から欠落している人物をあろうことか良識と思いやりのある人物だと信じてしまうところなど。非常に恐ろしいですよ」とラッセルの描く物語に心を奪われたことを明かす。
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また、ヴィヴィアン・ルックという、扇動的な発言を繰り返しつつどこかユーモアも醸し出すキャラクターについては、「できるだけ彼女を面白くて、自虐的で、魅力的に演じようと努めました。というのも人々がなぜ彼女に投票しようと思うのか、その理由が伝わるようにしたかったからです。直接面識のない人には同情や共感をするよりも嫌悪や差別をする方がずっと簡単。人々に恐怖を植え付けて嫌悪感を煽る方が楽なのです。私たちも現実でそういう事態を何度も何度も見てきていますよね」と痛烈に語る。
それでも視聴者へのメッセージとして、エマは「希望は常にある、ということですね。これは人間ドラマですし、いつだって暗い時代に陥ったらあとはもう良くなっていくだけ、そして良きものにしていくしかないですから」と語った。
「現実の世の中の方がずっと奇妙で、狂気じみていて、闇深い」
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この企画を10年以上煮詰めていたというラッセルは、「この数年間で世界がかつてないほどの目まぐるしさとなり、過激さを増し、荒廃してきました。その昔、大半の人にとって政治といえば経済を意味していましたが、今では政治によって自分たちのアイデンティティが危機にさらされていると捉える人の数の方が増えてきました。ですから他の人が書く前に早く私がこれを書かなければ!と思ったのです。それで脚本に書いたことが現実になる前にできるだけ早く発信することにしたのです」と制作秘話を語る。
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ヴィヴィアン・ルックというキャラクターについて、ラッセルは「このストーリーの背景には政治の一大転換期とイギリスという国の特性が描かれています。大きなうねりが起こるときにはそれを巻き起こすリーダーの存在が不可欠であり、満を持して登場するのがミセス・ルックなのです! しかもそれをイギリスを代表する稀代の役者エマ・トンプソンが演じることになります」と強烈なインパクトを残すキャラクターについてコメント。
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最後に視聴者へのメッセージとして、ラッセルは「現実の世の中の方がずっと奇妙で、狂気じみていて、闇深いですよ。けれども私たちが予測する未来よりも、現実がより良いものであることを願っています」と語る。物語に生きる人々の姿がリアリティに溢れ、心に刺さること間違いなし。近未来を描きながら現代に通ずる、注目の家族ドラマは見逃せない。
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【配信】「スターチャンネルEX」
<字幕版>配信中★第1話 無料配信期間 2月5日(土)まで
<吹替版>3月4日(金)より全話配信開始
【放送】BS10スターチャンネル
【STAR1字幕版】毎週水曜23時~ほか(第1話再放送:2月2日(水)13時~ほか)
【STAR3吹替版】毎週火曜22時~ほか(第1話再放送:2月19日(土)10時~)