アカデミー賞俳優ハビエル・バルデムとエル・ファニングが共演するサリー・ポッター監督最新作『選ばなかったみち』。若年性認知症を患う父・レオを演じるハビエルと、娘・モリー演じるエルの印象的な本編映像が解禁となった。
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本作が描くのは、ニューヨークのアパートにひとりで暮らすレオ(ハビエル・バルデム)をモリー(エル・ファニング)が病院へ連れていくため、彼を訪ねるある朝から始まる24時間。

モリーがレオを連れて向かった歯医者での治療中、レオは現実と幻想のはざまで混乱し始め、粗相をしてしまう。今回解禁となった本編シーンは、トイレでレオを着替えさせる様子を捉えたもの。
混乱が続く中で体格のいい父レオを介助するのはモリーにとって簡単なことではなく、ひとつひとつの動作に苦戦する様子が伺える。しかし、彼女が努めて明るく話しかけ、父への愛情を感じさせる印象的なシーンとなっている。この後、モリーは自分の予定を何度も変更せざるを得なくなるが、その中でも父のためにお揃いのズボンを購入するのだ。

ハビエルは撮影前にサリー・ポッター監督と繰り返し打ち合わせを行う一方で、レオと同じ症状を持つ患者のサポートをする組織の指導を仰ぎ、独自にリサーチを行ったという。「若いうちに病気になることの重大さに気付き始めた時、この物語がより理解できるようになりました。患者がまだ活動的で身体能力が高いレオのような状況は、サポートをする人が患者の行動を制止することを難しくさせるからです」と語る。
また、監督はモリーという人物を描くにあたり、「傷ついている父を支えたい、前向きな愛情に突き動かされて父をケアしたいと心から思っているということをきちんと表現できるキャラクターでなければなりません。その上で、それを悲劇としてではなく表現していくことが大事でした」とこだわりを語る。
この点で『ジンジャーの朝 ~さよなら、わたしが愛した世界』に続くタッグとなったエルが適任と考えていたといい、「エルには遊び心があり、軽快さと楽しさを持ち合わせたような形で見せることができます。例えばトイレのズボンのくだりで笑いながら演技をするシーンはいい例として挙げられると思います」と語る。

エルは、モリーという役柄について「私は家族の誰かのケアをしたことがないので新たな経験でしたが、サリー(監督)には、私にこの経験が必要だということが分かっていたんだと思います。モリーはプロではないから、ケアが必要な状況に出くわした時に瞬時にそれに反応することが重要だと考えました」と明かす。また、このシーンについて、「ハビエルと直接話したわけではないのですが、お互いの演技に恥ずかしがることなく、さらけ出そうという約束を暗に交わしていたように思います」とふり返っている。
『選ばなかったみち』は2月25日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。