第27回釜山国際映画祭が本日から開催。アジア最大級の映画祭が3年ぶりに通常開催となり、活況が期待される。
目次
釜山国際映画祭とは?
1996年に始まった大韓民国の釜山広域市で毎年10月に開催される国際映画祭。今年は第27回となり、10月5日から14日まで総数354本が上映され、71ヵ国から公式上映作243本が参加する。
パンデミックの影響で一昨年と昨年は規模を縮小しての開催となったが、今年は感染予防対策を徹底の上、過去2年間に実施されなかったイベントやプログラム部門を再開。アジア映画界の発展をサポートする企画も復活し、インディペンデント映画制作の活性化と制作環境の安定を目的とした資金援助プログラム “アジアン・シネマ・ファンド(ACF)”、新進の映画人たちの交流や学びの場となる“アジアン・フィルム・アカデミー(AFA)”も開催され、映画制作へのサポートが充実している。
映画祭では、その年のアジア映画産業に大きく貢献した人物を表彰するアジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞をはじめ、新進のアジア人監督の作品を表彰するニュー・カレンツ賞、ドキュメンタリー作品に贈られるBIFFメセナ賞、アジアの短編映画に贈られるソンジェ賞、アクター・オブ・ザ・イヤー賞などがある。
この数年でK-POP、Netflix「イカゲーム」など自国発のコンテンツが世界で大ヒットするなか、映画祭への注目はさらに高まっている。
オープニング上映
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Scent of Wind(英題)/Hadi Mohaghegh(イラン)
クロージング上映
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ある男/石川慶(日本)
ガラ・プレゼンテーション
影響力ある監督や俳優の作品を上映し、芸術的功績を称える。
📍注目ポイント
ニュー・カレンツ部門の審査員を務めるフランスのアラン・ギロディ監督の最新作『Nobody’s Hero(原題)』、『マーティン・エデン』(19)のピエトロ・マルチェッロ監督がロシアの作家アレクサンドル・グリーン原作の小説「深紅の帆」をフランス人のキャストで映画化した『Scarlet(英題)』の2本を上映。
🎥作品名/監督名一覧
Nobody’s Hero(原題)/アラン・ギロディ(フランス)
Scarlet(英題)/ピエトロ・マルチェッロ(フランス、イタリア、ドイツ)
Icons(アイコンズ)
現在活躍する世界中のアイコニックな映画監督たちの最新作を上映。
📍注目ポイント
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カンヌやヴェネチア、ベルリンなど主要国際映画祭の今年の受賞作、話題作が数多くラインナップ。5月開催のカンヌからはパルムドール受賞作『Triangle of Sadness(原題)』、監督賞受賞(パク・チャヌク)の『Decision to Leave(英題)』、最優秀男優賞(ソン・ガンホ)などを受賞した是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』、審査員賞受賞の『EO(原題)』、9月開催のヴェネチアからは審査員大賞作『No Bears(原題)』、脚本賞(マーティン・マクドナー)と男優賞(コリン・ファレル)を受賞した『イニシェリン島の精霊』が上映される。2月開催のベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した韓国のホン・サンス監督の『The Novelist’s Film(英題)』も上映。フィリピンのブリランテ・メンドーサ監督の新作『Feast(英題)』がワールドプレミア上映される。
🎥作品名/監督名一覧
Armageddon Time(原題)/ジェームズ・グレイ(アメリカ)
イニシェリン島の精霊/マーティン・マクドナー(アイルランド、イギリス、アメリカ)
バルド、偽りの記録と一握りの真実/アレハンドロ・G・イニャリトゥ(メキシコ)
Both Sides of the Blade(英題)/クレール・ドゥニ(フランス)
ベイビー・ブローカー/是枝裕和(韓国)
Brother and Sister(英題)/アルノー・デプレシャン(フランス)
Crimes of the Future(原題)/デヴィッド・クローネンバーグ(カナダ、ギリシャ、フランス、イギリス)
Dark Glasses(英題)/ダリオ・アルジェント(イタリア、フランス)
Decision to Leave(英題)/ パク・チャヌク(韓国)
EO(原題)/イエジー・スコリモフスキー(ポーランド、イタリア)
フェアリーテイル/アレクサンドル・ソクーロフ(ロシア、ベルギー、エストニア)
Feast(英題)/ブリランテ・メンドーサ(香港、中国)
Lord of the Ants(原題)/ジャンニ・アメリオ(イタリア)
My Imaginary Country(英題)/パトリシオ・グスマン(フランス、チリ)
No Bears(英題)/ジャファール・パナヒ(イラン)
The Novelist’s Film(英題)/ホン・サンス(韓国)
One Fine Morning(英題)/ミア・ハンセン=ラヴ (フランス、ドイツ)
Pacifiction(英題)/アルベルト・セラ(フランス、スペイン、ドイツ、ポルトガル)
Peter Von Kant(原題)/フランソワ・オゾン(フランス、ベルギー)
R.M.N.(原題)/クリスティアン・ムンジウ(ルーマニア、フランス)
Triangle of Sadness(英題)/リューベン・オストルンド(スウェーデン、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、ギリシャ)
WALK UP(英題)/ホン・サンス(韓国)
When the Waves are Gone(英題)/ラヴ・ディアス(フィリピン、フランス、ポルトガル、デンマーク)
ホワイト・ノイズ/ノア・バームバック(アメリカ)
New Currents(ニュー・カレンツ)
全てワールド・プレミア上映となる作品で、ニュー・カレンツ賞、国際批評家連盟(FIPRESCI)賞、ネットパック賞、KBニュー・カレンツ観客賞の選考対象となる。
📍注目ポイント
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韓国系シンガポール人のHE Shuming監督作で11月発表の台湾の映画賞、第59回金馬奨で主演女優賞、助演男優賞、新人監督賞、最優秀オリジナル脚本賞など4部門にノミネートされている『Ajoomma(原題)』をはじめ、アジアを中心に久保田直監督の『千夜、一夜』もエントリーしている。審査員に日本から加瀬亮が名を連ねる。
🎥作品名/監督名一覧
Ajoomma(英題)/HE Shuming(シンガポール、韓国)
Blue Again(英題)/Thapanee LOOSUWAN(タイ)
Hail to Hell/イム・オジョン(韓国)
MEMENTO MORI: EARTH(英題)/Marcus VU Manh Cuong(ベトナム)
No End(英題)/ナデル・サエイヴァル(ドイツ、イラン、トルコ)
A Place Called Silence(英題)/Sam QUAH(マレーシア)
Shivamma(英題)/Jaishankar ARYAR(インド)
千夜、一夜/久保田直(日本)
a Wild Roomer(英題)/イ・ジョンホン(韓国)
The Winter Within(英題)/アーミル・バシル(インド、フランス、カタール)
Jiseok(ジソク)
釜山国際映画祭ディレクターで、アジア映画の発展に貢献した故キム・ジソク氏にちなんだ部門。
📍注目ポイント
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監督作が3本以上あるアジアの映画監督たちの作品によるコンペティション部門。2017年に亡くなった釜山国際映画祭ディレクターで、アジア映画の発展に貢献した故キム・ジソク氏の名前を冠したキム・ジソク賞が2作に贈られる。日本からは『December(英題)』がノミネート。荻上直子監督が審査員の1人を務める。
🎥作品名/監督名一覧
Alteration / Yalkin TUYCHIEV(ウズベキスタン)
December(英題)/アンシュル・チョウハン(日本)
Life & Life(英題)/ Ali GHAVITAN(イラン)
Scent of Wind(英題)/ Hadi MOHAGHEGH(イラン)
Seventeeners(英題)/ Prithvi KONANUR(インド)
Six Characters(英題)/M.L. Bhandevanov DEVAKULA(タイ)
The Storyteller(英題)/Ananth NARAYAN MAHADEVAN(インド)
A Wing and a Prayer(英題)/イ・クァンクク(韓国)
A Window On Asian Cinema(ウィンドウ・オン・アジアン・シネマ)
アジア映画のさまざまなスタイルやヴィジョンにフォーカスして選出された作品を上映。
📍注目ポイント
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実績あるベテランから新進気鋭まで、今注目されている監督の最新作にフォーカスすることで、その年のアジア映画の時代性を把握する。
ベルリン国際映画祭銀熊賞(助演俳優賞/ローラ・バスキ)を受賞したインドネシアの『Before, Now & Then(英題)』、カンヌ国際映画祭最優秀女優賞(ザール・アミール・エブラヒミ)受賞の『ホーリー・スパイダー(原題)』、同映画祭ある視点部門審査員賞およびクィア・パルムを受賞した『Joyland(英題)』、国際批評家連盟賞受賞の『Leila’s Brothers(英題)』、深田晃司(『LOVE LIFE』)、ソンジェ賞審査員も務める早川千絵(『PLAN 75』)ら日本の監督作品も上映される。
🎥作品名/監督名一覧
Arnold is a Model Student(原題)/ソラヨス・プラパパン(タイ、シンガポール、フランス、オランダ、フィリピン)
Autobiography (英題)/マクブル・ムバラク(インドネシア、フランス、シンガポール 、ポーランド、フィリピン、ドイツ、カタール)
B for Busy(英題)/ Shao YI-HUI(中国)
Before, Now & Then(Nana)(英題) /Kamila ANIDINI(インドネシア)
Beyond the Wall (英題)/ヴァヒド・ジャリルヴァンド(イラン)
Declaration(英題)/Mahesh NARAYANAN(インド)
Fortune (英題)/Muhiddin MUZAFFAR(タジキスタン)
Goldfish(英題)/ Pushan KRIPALANI(インド、イギリス、 アメリカ)
Hanging Gardens(英題)/ Ahmed Yassin AL DARADJI(イラク、エジプト 、パレスチナ、サウジアラビア、レバノン、イギリス)
ホーリー・スパイダー(原題)/アリ・アッバシ(デンマーク、ドイツ、 スウェーデン 、フランス)
Home for Sale(英題)/ Taalaibek KULMENDEEV(キルギスタン)
Hong Kong Family(英題)/Eric TSANG Hing Weng (香港、中国 )
In Our Prime (英題)/LIU Yulin(中国 )
Joyland (英題)/サイム・サディック(パキスタン)
Leila’s Brothers(英題)/ Saeed ROUSTAEE(イラン)
Little Blue (英題)/リー・イーファン(台湾)
Look At Me Touch Me Kiss Me(英題)/HO Yuhang、Djenar MAESA AYU、Kim Tai-sik(マレーシア、インドネシア、 韓国)
LOVE LIFE /深田晃司(日本、フランス)
Mariam (英題)/Arvind PRATAP(インド)AADAN
Nezouh (英題)/Soudade KAADAN(イギリス、シリア、フランス)
Plan 75/早川千絵(日本、フランス、フィリピン、カタール)
Return to Seoul(英題)/ Davy Chou(フランス)
The Sales Girl (英題)/Sengedorj JANCHIVDORJ(モンゴル)
The Scent of the Wormwood(英題)/Aibek DAIYRBEKOV(キルギスタン)
Scheme(英題)/ Farkhat SHARIPOV(カザフスタン)
Sermon to the Fish(英題)/ Hilal BAYDAROV(アゼルバイジャン、メキシコ、スイス、トルコ)
Stone Turtle(英題)/ WOO Ming Jin( マレーシア、インドネシア)
Tora’s Husband (英題)/Rima DAS(インド)
The Wind Will Say(英題)/ WEI Renai Yongyao(マレーシア、中国 )
Zwigato (英題)/Nandita DAS(インド)