2026年に入ってすぐ、1月ぐらいだっただろうか。近所のミニシアターでずっと気になっていた映画『旅と日々』が上映されるとの情報をキャッチし、観に行った。
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正直にいうと映画自体にあまり馴染みがなく久しぶりの鑑賞だった筆者が鑑賞後に「シム・ウンギョンさんが出演している作品をもっと見てみたい」と、純粋にそう思うほど惹かれる演技だったのを強く覚えている。
そこで今回は日韓の両方で活躍し、若手実力派俳優といわれている「シム・ウンギョン」について深堀りしていきたいと思う。
実は芸歴20年以上の大ベテラン俳優!
アラサー世代の筆者が学生時代から名前を知っていたので「自分より少し年上の方なのかな…?」と思っていたのだが、改めてプロフィールを調べてみて驚いた。

なんと「1994年5月31日」と同世代だったのだ。
それもそのはず、彼女は子役出身。10歳の時に、ドラマ『張吉山(チャンギルサン、2004)』でデビューを果たした。その後、主人公ファン・ジニ(ハ・ジウォン)の幼少期を演じた『ファン・ジニ(2006)』で「KBS 演技大賞青少年演技賞」を受賞し、人気子役の仲間入りを果たす。2026年現在で芸歴がすでに20年以上というベテランなのだ。
韓国での主な出演作品
① 映画『サニー 永遠の仲間たち』
「1986年の高校時代」と「2011年の現在」が交錯しながらストーリーが進んでいく作品。少女たちの友情と初恋、そして人生のかけがえのない瞬間を描いた青春ドラマだ。70~80年代の名曲が随所に使われているのもはずせないポイントである。シム・ウンギョンは主要キャストの一人、田舎から大都会ソウルに転校してきた少女ナミを演じた。

②映画『怪しい彼女』
シム・ウンギョンが演じたのは20歳の姿に若返った主人公オ・ドゥリ。70歳の毒舌おばあちゃんがある日突然20歳の姿に若返り、キュートなルックスと抜群の歌唱力を武器に新たな夢を見つけ、思いがけない出会いを重ねるストーリー。恋や家族、さまざまな騒動に巻き込まれながら奇跡のような日々が始まっていく。笑いと感動が詰まったファンタジック・コメディだ。
こちらの作品は、観客動員数860万人を突破する大ヒットを記録。第50回百想芸術大賞では最優秀主演女優賞をはじめ数々の賞に輝いた。日本では多部未華子主演によるリメイク版も制作され、話題を集めた。

③ ドラマ『大韓民国で建物のオーナーになる方法』
あらすじとしては、借金に苦しむビルオーナーのキ・スジョン(ハ・ジョンウ)が、家族と大切な建物を守るためやむなく偽の誘拐劇に加担。再開発という希望にすがりながら危うい綱渡りを続けるなか、建物をめぐる人々の思惑や欲望が複雑に絡み合い、事態は思いもよらない方向へと転がっていくというもの。先の読めない展開が続くサスペンスドラマだ。
ハ・ジョンウの19年ぶりのテレビドラマ出演ということで話題になっているこの作品。作中で再開発事業を推進するリアルキャピタルの実務者を演じるシム・ウンギョンも、実に6年ぶりの韓国ドラマ出演と久々のカムバックなのだ。しかもかなり冷酷かつ残忍な性格の悪役を演じるとのこと。彼女の新境地となるドラマになるかもしれない。

このほかにも、宮廷歴史大作映画『王になった男』や、サスペンス・スリラー映画『少女は悪魔を待ちわびて』、日本でも大人気だったドラマの韓国リメイク版 『のだめカンタービレ~ネイルもカンタービレ』などに出演している。
見習いたいバイタリティ、思い切りのよさ
幼いころから芸能活動をしているがゆえに、人生における「経験」を演じるうえでなにより大切に思っていた彼女。18歳での『サニー 永遠の仲間たち』出演によるブレイク後、彼女はニューヨークへ渡り、2年半の留学生活を送った。
そのときに韓国だけなく、さまざまな国で色々な経験を積んでいきたいと感じた。その国のひとつに日本があったというわけである。
そして、2017年頃ついに日本進出を決断。もともと日本文化全般、とりわけ映画に興味があり「いつか日本でも仕事を」と思っていたそう。現在も日本と韓国を行き来しながら芸能活動を続けている。
日本での主な出演作品
①映画『旅と日々』
つげ義春の漫画『海辺の叙景』『ほんやら洞のべんさん』を原作に、三宅唱監督が映画化したロードムービー。シム・ウンギョンは、将来への不安や創作の行き詰まりを抱えた脚本家の李を演じている。都会を離れて雪深い温泉地へ旅に出た李だが、そこで寂れた宿を営むべん造(堤真一)と出会い、穏やかな交流を重ねるなかで少しずつ自分の人生と向き合っていく。物語は現実の出来事と、李が書き進める脚本の世界が重なり合う形で進行するという独特な形式だ。
まず、本当に映像が美しい。綺麗。「自然の緑のなかではパキッとした青色が映えるんだな」「波の音ってこんなに癒される音だったんだ」と普段生活していくなかではなかなか気づけないことに改めて目を向けられた。
そして鑑賞後に感じたのは、人生が停滞気味なタイミングにこそ旅行でもなんでも自分で動いていくことの大切さ。自分の意思を持って俳優人生を切り開いてきたシム・ウンギョンが演じるからこそ、その重みがより伝わってきたようにも感じる。
②映画『新聞記者』
現役ジャーナリスト・望月衣塑子による同名ベストセラーを原案に、国家権力と報道の関係に迫る社会派サスペンス。シム・ウンギョンが演じたのは日本人の父と韓国人の母を持つ米ニューヨーク育ちの帰国子女で、若手記者の吉岡エリカ役。医療系大学の新設計画をめぐる極秘文書が匿名で届き、真相を追う取材のなかで彼女は政権中枢に潜む闇へと迫っていく。

一方、内閣情報調査室の官僚・杉原(松坂桃李)は理想を胸に公務員となったものの、任務として命じられたのは政権に不都合な報道のコントロール。正義を模索する二人の姿を通して「権力とメディア」「組織と個人」の緊張関係もあわせて描かれている。
この作品で彼女は、外国人初となる日本アカデミー賞の主演女優賞を受賞。全編日本語での演技にチャレンジした作品でもあったため喜びもひとしおだっただろう。
このほかにも映画『椿の庭』や『ブルーアワーにぶっ飛ばす』、ドラマ『七人の秘書』などジャンルを問わず幅広い日本作品に出演している。
また、最近韓国のバラエティコンテンツでボーイズグループ「NCT WISH」のファンであることを明かした彼女。

実は去年の誕生日に、友達とNCTWISHのグッズを買いに行きました」「Steadyすごく好きです(NCT WISHの楽曲)」と少し照れたように話す姿に、シズニである筆者は親近感を感じずにはいられなかった。これからも、日韓両方で活躍し続ける姿を見たい俳優さんの一人だ。
文=豊田 祥子
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