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韓国ドラマで起きているトレンド変化を分析。「PPL広告が減った?」と感じる本当の理由

「最近の韓国ドラマは、露骨な広告が減ったような気がする」――そんな印象を持ったことはないだろうか。

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「最近の韓国ドラマは、露骨な広告が減ったような気がする」――そんな印象を持ったことはないだろうか。

かつての韓国ドラマでは、ストーリーの流れとは関係なくヒロインが突然化粧品を塗り始めたり、ジュースのラベルが画面いっぱいに映し出されたりするなど、「いかにも広告」とわかる不自然なシーンがたびたび話題になっていた。

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こうした手法は「PPL(プロダクト・プレイスメント)」と呼ばれる間接広告である。ところが実際には、PPLは減っているどころか、むしろ市場規模を拡大させている。世界的な韓国ドラマ人気を背景に、PPLは今、大きな転換期を迎えている。いま韓国ドラマで起きているPPLのトレンドを分析する。

制作費高騰が生んだPPLビジネス

韓国では2009年の放送法改正でPPLが正式に認められた。制度化以降、PPL市場は急速に拡大し、2024年は約1964億ウォンに達し、2010年と比べると6倍以上の規模に成長している。

PPLがここまで発達した背景には、韓国ドラマの制作費の高騰がある。近年は1話あたり数億~数十億ウォン規模の制作費がかかることもある。

さらに、地上波ドラマとOTT(動画配信サービス)では広告ルールも異なる。実際、Netflixは当初「広告なし」を掲げていたが、2022年に「広告付き低価格プラン」を導入し方針を転換した。

一方でPPLは、ときに視聴者の反感を招くことも。

たとえば『智異山<チリサン>~君へのシグナル~』(2021年)では、山奥の避難所のシーンにもかかわらず突然SUBWAYのサンドイッチを食べる場面が登場し、「不自然すぎる」とSNSで大きな議論を呼んだ。

(画像=tvN『智異山<チリサン>~君へのシグナル~』放送画面キャプチャー)

このように広告色の強い演出は、作品への没入感を損なうとして批判されることも少なくない。

進化するPPL――ストーリーと一体化する広告

PPLは「露骨すぎる」と批判されることも多かった。しかし近年は、単なる商品露出ではなく、ドラマの世界観やキャラクターを説明する要素の一つとして進化している。

現在主流になっているのが、ストーリーに自然に溶け込むPPLだ。企業が企画段階から制作に参加し、キャラクターの生活や人間関係、ストーリー展開と結びつけてブランドを登場させる。

例えば、主人公がバス停でバスを待つシーン。背後の広告板には旅行予約サイトTrip.comのポスターが映る。一見すると街中の普通の広告だが、これは制作側が意図的に配置したPPLだ。実際のバス停にもありそうな風景として自然に溶け込み、視聴者の没入を妨げるどころか、シーンのリアリティを高めている。

また近年は、作品の世界観を支える形の高付加価値な協賛も増えている。Netflixオリジナルドラマ『トラウマコード』(2025年)では、手術室に登場する医療機器が協賛製品として使われ、ドラマのリアリティを高めている。

いま韓国ドラマで起きている新しいPPLの形

では、なぜ視聴者は「広告が減った」と感じるのか。実際にはPPLが減ったわけではない。むしろ広告は、見えにくい形へと進化している。

その大きな理由の一つが、AIを使った「後づけ広告」の登場だ。

撮影現場には存在しなかった商品が、編集段階で映像に自然に合成されるケースが増えている。この技術はVPP(Virtual Product Placement)と呼ばれ、画面内の空きスペースや小道具の位置をAIが分析し、ブランドロゴや商品を後から配置するというAI時代に対応した広告手法だ。

例えば、『マエストラ』(2023年)では、サムスンのラグやコスメブランドSW19のハンドクリームが、実際の小道具ではなくデジタル技術によって後から挿入された(CJ ENM発表)。

ドラマ『マエストラ』より(写真提供=スタジオ・ドラゴン、INSHORTS)

ニュースポータルサイト『』Daum』の2025年8月報道によると、編集段階で追加できるため、放送直前でも商品を差し替えられる柔軟さがあり、撮影後に決まったスポンサーにも対応可能で、追加撮影が不要なため、制作側にとって新しい収益源となっていると分析している。

OTT時代ならではの変化もある。世界配信を前提とする作品では、韓国国内だけでなく海外の視聴者にも理解しやすいブランドや演出が意識されるようになった。字幕やローカライズを考慮し、セリフで説明するのではなく、視覚的に伝わる商品露出が増えている。

さらに、ショートドラマや縦型動画でもPPLの実験が進む。特に韓国のZ世代は、ドラマ全編を観ず、SNSのショート版だけで視聴する傾向が強い。SNS拡散を前提に、数十秒のシーンでブランドを印象づける設計が求められるようになった。

また放送後のマーケティングにも変化がある。ドラマ放送後には、公式SNSでシーンの切り抜き動画が公開されるが、この段階では商品リンクを直接貼らないことも多い。一方で、ブランド側のSNSやオンラインショップでは「ドラマで使用された商品」として紹介され、購入ページへ誘導する投稿が行われるケースが増えている。

そこにファンによる拡散も加わる。視聴者がSNSで印象的なシーンを共有し、「この商品はどこのブランドか」と話題にすることで情報が広がっていく。こうして、ドラマで認知 → 公式SNSやファン投稿で拡散 → オンラインショップで購入という流れが生まれ、短期間で売上につなげる戦略が定着しつつある。

ロッテ×スタジオドラゴンに見るPPLの新しいビジネスモデル

とはいえ、昔ながらのベタなPPLが完全に消えたわけでもない。

『今日から“ニンゲン”に転身しました』では、ストーリーと直接関係のないコーヒーキャンディーKOPIKOが二度ほど不自然に登場する場面があった。登場人物が「目が覚める」「おいしい」とコメントしながら商品を手に取る、いわゆる昔ながらの直球PPLだ。作品自体は最後まで飽きさせない展開で面白かっただけに、このシーンだけが妙に長く感じられ、違和感が残ったのも事実である。

しかし前述の通り、現在の韓国ドラマでは、こうした露骨なPPLはむしろ少数派になりつつある。

ロッテウェルフードとスタジオドラゴンの業務協約に象徴されるように、企業が企画段階から制作に関わる動きも広がっている。作品のコンセプト、登場人物の職業や生活スタイル、人間関係などを共有しながら、「どの場面でどのように商品を登場させるか」を最初から設計する仕組みだ。

つまり「最近PPLを見ない」という視聴者の感覚そのものが、韓国ドラマの広告手法が高度化した証拠でもある。

広告がストーリーの流れを止めるのではなく、物語の世界観の中に自然に組み込まれる段階に到達している。次にドラマを観るときは、そんなPPLのトレンドにも注目してほしい。

(文=田名部 知子/Xで気ままなソウルの日常を発信中:@t7joshi)

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