テレビ東京で放送中の『オクニョ 運命の女(ひと)』。このヒット作で、圧倒的な権力を振るう尹元衡(ユン・ウォニョン)を演じ、視聴者に強烈なインパクトを残したのがチョン・ジュノだ。
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彼が演じた尹元衡は、姉である文定(ムンジョン)王后の威光を背に、大出世を果たした実在の人物。劇中でも政敵を粛正し、賄賂政治に手を染める冷酷な権力者を重厚に演じきった。欲望に忠実な悪役という新境地を開拓した彼の姿は、視聴者に強烈なインパクトを残した。

『オクニョ』での成功以降、チョン・ジュノは2018年に韓国で社会現象を巻き起こしたドラマ『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』に出演。出世欲とプライドにまみれた整形外科医カン・ジュンサンを熱演した。
続いて2019年の時代劇『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』では、孤独と狂気に苛まれる王・光海君(クァンヘグン)に扮し、冷徹な君主の顔と父親としての悲哀を見事に使い分けた。
2020年には、人気漫画が原作の『女神降臨』に主人公の父親役で特別出演し、ベテランならではの包容力を見せた。さらに2022年の『今から、ショータイム!』では、将軍の幽霊というコミカルで独創的なキャラクターを演じ、変幻自在な演技の幅を改めて証明した。
2025年公開の映画『ヒットマン2』では、前作に続いて国家情報院の幹部トクギュ役を演じ、シリーズの安定感を支えるベテランとして作品を下支えした。
また2025年には、韓国放送演技者協会の理事長として公の場に立つ機会も増え、俳優個人の活躍に加えて、業界全体を支える立場でも注目を集めた。実際に同年秋の公聴会や授賞式では、協会理事長の肩書で出席しており、後進育成や俳優の権益保護に関わる存在としての重みも増している。
俳優業の外でも話題に事欠かない。
実業家として手がける二日酔い解消飲料ブランドは、2025年に売上3億ウォンを突破し、2026年には5億ウォン超を目標に掲げるなど着実な成長を見せている。芸能人の副業という枠を超え、長年の人脈と経営感覚を活かして事業を育てる姿は、チョン・ジュノのもう一つの顔として広く知られるようになった。
その一方で、2025年末にはAIを利用した虚偽広告に名前や顔を無断使用される被害も明らかになった。所属事務所は、本人の承認なく生成された顔画像や捏造された発言が広告に使われているとして法的対応を表明しており、スターとしての知名度の大きさが、思わぬ形で社会的問題とも結びついた格好である。
私生活では、2011年に結婚したアナウンサー出身のイ・ハジョンとともに、一男一女を育てる父親としての一面もたびたび話題を集めている。2025年には子どもたちの受賞や活躍が報じられ、家庭でも温かな支柱としての姿が注目された。

バラエティやSNSを通じて見せる「お喋り好きで情に厚い素顔」は、かつての冷徹な悪役像との鮮やかな落差を生み、幅広い世代から親しまれる理由となっている。
重厚な悪役、コミカルな助演、父性的な存在感、さらに業界人・実業家としての責任まで引き受けながら、その活動領域をなお広げ続けているチョン・ジュノ。その歩みは、いまなお進行形なのである。
文=森下 薫
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