朝鮮王朝を継承した架空の立憲君主国家で「九旒冕冠」を被り、「万歳(マンセ)」の代わりに「千歳(チョンセ)」を叫んだのは、歴史歪曲なのか、それとも単なる考証ミスなのかーー。
放送前から圧倒的な話題性を誇っていた『21世紀の大君夫人』。5月16日に放送された最終回はハッピーエンドであり、全国平均視聴率13.8%(ニールセンコリア)を記録し、自己最高視聴率を更新したにも関わらず、余韻に浸る間もなく、歴史歪曲および考証ミスの論争に苛まれている。
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最も問題とされているのは、第11話で描かれた即位式のシーンだ。
主人公のイアン大君(演者ビョン・ウソク)が結局、幼い甥を退けて王位に就く。その即位式で彼は自主独立国家の皇帝が着用する12本の玉飾りがついた「十二旒冕冠」ではなく、諸侯を意味する「九旒冕冠」を着用していた。
そして臣下たちは諸侯国が皇帝国に冊封国で用いられる「千歳、千歳、千千歳」を叫んだ。

このシーンを口実に、一部の中国のネット民たちが「これこそ東北工程(中国により国家プロジェクトの一つ)の証拠だ」と主張し始めた。
韓国だけでなく海外でも知名度の高いビョン・ウソクとIUが主演として共演し、Disney+(ディズニープラス)で世界配信された話題作だけに、中国側の歴史歪曲主張に口実を与えたという点が、韓国の大衆を激怒させたのだ。
俳優・作家・監督の「トリプル謝罪」という異例の事態
ついには「売国ドラマ」とも呼ばれ、制作陣をはじめ、該当シーンに問題提起できなかった出演陣もまた、中国の歴史歪曲に加担した罪人のように描写されている。
この事態を受け、『21世紀の大君夫人』の公式サイトには制作陣の謝罪文が掲載され、再放送やOTTで配信されるVODにおいて「千歳、千歳、千千歳」の音声と字幕を削除する修正を行っている。
しかし、九旒冕冠を着用したビョン・ウソクの姿はクローズアップだったため、差し替えが難しい状況だ。
こうした状況の中、演出を担当したパク・ジュンファ監督が矢面に立った。主演・脇役問わず辞退したインタビューを1人で行った監督は「言い訳の余地なく、全面的に私の責任が最も大きい」「設定に没頭していた」「沼にハマっていた」「朝鮮時代の考証に従うべきだという考えが強く、自主独立国家としての描写を見落としてしまった」などと謝罪し、涙まで見せた。
さらに、脚本を手掛けたユ・ジウォン作家も、公式サイトを通じて自ら謝罪文を発表。彼らに先立ち、主演俳優のビョン・ウソクとIUが個人のインスタグラムに謝罪文を発表していたため、『21世紀の大君夫人』は作家・監督・俳優、いわゆる「作監俳」のトリプル謝罪が行われるという異例の事態となった。

政府支援金の回収検討も…「架空の国」ゆえの曖昧さが仇に
それでも批判の声は収まっていない。海外にも配信されているだけに、誤った歴史認識が海外に広まった場合、取り返しのつかない国家的恥辱になるという理由からだ。そのため、単なる編集・修正ではなく「全話廃棄」が強く要求されている。
さらに、『21世紀の大君夫人』のカンヌシリーズフェスティバル投資説明会などを支援していた放送メディア通信委員会は、政府支援金の回収に向けた法的な可能性まで検討中だという。
大衆は問題の根源を「歴史歪曲」と捉えている一方で、制作陣は「考証エラ」に焦点を当てて謝罪することで、微妙な温度差を見せている。
『21世紀の大君夫人』は「架空の立憲君主国・大韓民国」を舞台にしているため、現実に存在しない国をめぐって歴史や考証をどのレベルまで適用するのが正しいのかが焦点となるはずだ。
フィクションであるがゆえに基準が曖昧であり、いかようにも解釈できるであるため、結果的に中国の東北工程に悪用されやすいという盲点が、さらなる怒りを招いている状況だ。
(記事提供=OSEN)
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