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是枝裕和監督「改めて映画と向き合い直すきっかけになった作品」『ルックバック』出口夏希&蒔田彩珠ら第31回釜山国際映画祭に参加

藤本タツキの原作を実写映画化した『ルックバック』より釜山国際映画祭参加レポートが到着した。

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『ルックバック』(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社
『ルックバック』(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社 全 30 枚
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藤本タツキの原作を実写映画化した『ルックバック』より釜山国際映画祭参加レポートが到着した。

韓国・釜山で開催されたアジア最大規模の映画祭「第31回釜山国際映画祭」のガラ・プレゼンテーション部門に正式出品された本作。

映画祭には是枝裕和監督、出演者の出口夏希、蒔田彩珠、七瀬ふうり、岡田六花の5名が参加。是枝裕和監督作品が同映画祭に出品されるのは『怪物』以来であり、同じガラ・プレゼンテーション部門への出品となる。

10月6日のオープニングセレモニーのレッドカーペットに、出口、蒔田、七瀬、岡田、是枝監督が登場。

『ルックバック』(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社

出口は赤と黒のコントラストが印象的な華やかで情熱的なドレスを着こなし、蒔田は首元に煌びやかな装飾が施されたシックな黒のノースリーブロングドレスをエレガントに身にまとった。子ども時代の藤野を演じた七瀬は爽やかな刺繍が施されたドレス、子ども時代の京本を演じた岡田はふんわりとしたボリュームスリーブが可愛らしいグレーのドレスで登場。是枝監督は落ち着いたベージュの上品なスーツスタイルで温かく寄り添った。

『ルックバック』(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社

キャスト陣と監督が仲睦まじい笑顔で姿を現すと、場内では「コレエダヒロカズ」と監督の名前を称える楽曲が流れる演出があり、まさかのサプライズに思わず顔を見合わせて笑みをこぼす場面も。会場からは割れんばかりの大きな拍手と歓声が巻き起こった。

10月7日には、メイン会場「映画の殿堂」にて記者会見が開催された。朝からの開催にもかかわらず会場は満席となり、約80名の報道陣が詰めかけた。

『ルックバック』(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社
『ルックバック』(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社

会見の冒頭、是枝監督は「昨日も開幕式が非常に華やかで、僕の名前を歌にまでしていただき、驚きましたけれど楽しい時間を過ごさせていただきました」と前日のレッドカーペットをふり返り、「デビュー作からずっと呼んでいただいている映画祭ですので、思い入れも非常に強く、ホームという形で誇らしく思える映画祭です。そこでこの作品を皆さんに届けることができ、大変嬉しく思っています」と語った。

『ルックバック』(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社

藤野役の出口は「昨年も釜山国際映画祭に来させていただきました。美味しいものをいっぱい食べて帰りたいと思います。よろしくお願いします」と、2年連続での参加への喜びをにじませた。

京本役の蒔田は「初参加の釜山国際映画祭なのですが、昨日もすごい人たちが集まっている中で、オープニングセレモニーを間近で見ることができて、すごく貴重な経験ができたなと思いました」と笑顔で挨拶。

子ども時代の藤野を演じた七瀬は「ヴェネチアでもレッドカーペットを歩いたんですけど、韓国ではまた違う感じのレッドカーペットで、たくさんの人が集まっていて緊張もしたけれど、有名な人とかも見られて嬉しかったです」と初々しく挨拶した。

子ども時代の京本を演じた岡田も「この作品、そしてこのメンバーで一緒にここに来られているということがとても嬉しく、夢のような時間です」と喜びを語った。

『ルックバック』(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社

各国の記者からの質疑応答では、漫画の実写化についての質問に対し是枝監督は「原作を読んだ時に、『なぜ自分は映画を作るのか』という衝動や、背負ってしまう業のようなものを描いた物語でしたから、改めて映画と向き合い直すきっかけになった作品でもあります。ですので、その衝撃をこの作品にどう込めていけるかというのを考えました」と実写化に臨んだ思いを明かした。

撮影については「とても和やかな現場で、僕が細かく演出するというよりは、4人(出口、蒔田、七瀬、岡田)が共有している時間と、あの街に流れている季節の光の変化を丁寧に積み重ねて、時間をかけて撮っていこうと意識しました。自分にとっては非常に幸せな時間になりました」とふり返った。

「背中」の演技について問われた出口は「今作ではすごく背中のカットが多くて、背中でしか伝えきれない場面がたくさんありました。監督には『背中で京本を感じて』と言われました」とふり返り、「ずっと(蒔田)彩珠と2人で撮影していたので、京本がいなくなったあとの撮影では、急にさみしくなって、(京本が)いるけれどいないような感じがして、心が空っぽのまま撮影をしていました」と当時の心境を明かした。

また、フィルムで撮影した理由、実写にアニメーションを盛り込んだ意図について問われた是枝監督は「今作に限らず、フィルムで撮れるものはフィルムで撮りたいと思っています。今回は映画化が決まった段階で、『この作品は35ミリフィルムで撮りたい』『四つの季節を捉えましょう』ということを最初から提案していました」と説明。「フィルムで撮るということの一番の理由は、今ここにしかない、その瞬間に対する緊張感と集中度の度合いが全く変わってくるからです。その緊張感が集まった時に、何か特別な『磁場』みたいなものがその場所で生まれてくる。それが作品に映り込むと信じているし、それが観客に伝わると信じて映画を作っています」とフィルム撮影へのこだわりを語った。

アニメーション表現については「藤野が京本に『わたしの夢は自分の漫画をアニメにすることなんだ』と言った一言が、ふたりを一旦分かれさせ、どこかでふたりがまた出会い直すきっかけになる物語の流れを考えていました。しかし、それは絶たれてしまった可能性ですけど、京本の部屋で藤野がふたりの夢見た未来を幻視するという意味で、アニメーション表現のアイディアが生まれました」と説明。「通常のアニメーションよりは、ロトスコープというアニメと実写のちょうど中間の映像が、京本の描いた背景画の中で、叶えられなかった夢として動くというのが適切だと思い、あの表現になりました」と経緯を明かした。

会見の最後には次回作についての質問も飛び出し、是枝監督は「(次回作でも)また釜山に戻ってきたい」と笑顔を見せた。

同日、映画の殿堂・ルーフシアターにて野外舞台挨拶が行われた。

『ルックバック』(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社

是枝監督は「新作をもってまたこの会場にくることができて本当に嬉しく思っています」と挨拶。出口は「皆さん、こんにちは!出口夏希です。カムサハムニダ!」と韓国語を交えて挨拶し、観客から大きな歓声が上がった。さらに「昨日のレッドカーペットも、本当に皆さんが温かく迎えてくださったので、釜山を楽しんでます!」と弾けるような笑顔を見せた。蒔田も、「釜山国際映画祭に来たのが初めてだったので、この素敵なメンバーで来ることができてとても嬉しいです」と喜びを語った。

トークセッションでは、作品との出会いについて是枝監督は「5年ほど前になると思いますが、この漫画が出版されてすぐに本屋さんで、表紙の背中の絵に惹かれて買って、その日のうちに読んで。ちょうどコロナ禍でいろんなプロジェクトが止まっている状況でしたから、何かこう背中を押されたような、自分はなんで映画を撮っているのか、映画を撮り続けているのかっていうことを改めて考えさせてくれるような、そんな出会いをこの作品を通して経験しました。それが今回の映画化に繋がっています」と劇的な経緯を回想した。

キャラクターを演じるうえで大切にしたことについて、七瀬は「難しい……」とはにかみつつ、「私の場合は台本とか渡されずに口頭で伝えられて演じていました。アニメも原作の漫画も『見ちゃダメ』っていう形だったので……自分らしく、というところを大事にしました」と回顧。

岡田は「京本は秋田の方言を使う子だったので、やっぱり方言の練習をするところから始まって。全然ゆかりのない方言だったので大変だったんですけど、今はその方言自体が楽しいし好きで、日常でたまに使ってます」と笑顔を見せた。

出口は「最初お話をいただいた時は、すごくたくさんの方に愛されているキャラクター、作品だったので、私はもう嬉しさよりもプレッシャーの方が上だったんです。でも、実際に秋田のにかほ市に行って撮影していくなかで、そこで生活をして、自然と撮影できたと思います」と当時のプレッシャーと現場での変化を明かした。

蒔田は「最初に実写化のお話をいただいた時に、原作と台本がほとんど一緒で、文字をそのまま起こしたような脚本だったので、どこまで原作に寄せるべきか、どのくらいアニメに近づけるかを悩みました。でも現場に入ったら、夏希ちゃんとふたりの空気感のままお芝居できましたし、監督も見守ってくれていたので、自由に演じることができました」と現場で生まれた信頼関係と自然な空気感をふり返った。

注目シーンについて七瀬は「注目してほしいところは、私が演じる藤野が雨の田んぼ道を走るっていうシーンで、藤野の感情が溢れてるシーンなので、そこを注目してほしいです」と力強くアピール。

蒔田は「作品の半分くらいを子ども時代のふたり(七瀬、岡田)が担ってくれているので、ふたりの約1年間の頑張りを韓国の皆さんにも見届けてもらえたら嬉しいなと思います」とふたりへの思いを寄せた。

岡田は「ぜひ見てもらいたいシーンは京本と藤野が初めて会うシーンで、撮影も大変だったんですが、その分本当にいいシーンになりました」とアピール。

出口は「今回は春夏秋冬、どの季節も美しく映し出されていて、実写ならではの繊細で美しいところが分厚く作品に詰まっていると思うので、ぜひ韓国の皆さんに見ていただけたら嬉しいです」と語った。

最後に是枝監督は「全部のシーン、全部のカットに愛を込めて作ってます。その愛にたぶん満ち溢れた映画になったと思っているので、あまりないことなんですが、自分で見ていて別に悲しいシーンではないんですけども、涙が出ることがしばしばあります。ぜひご覧になってその愛を感じていただければなと思います」と作品への深い愛を語りかけた。

『ルックバック』(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社

会場全体が作品への期待感に包まれる中、大きな拍手に見送られながら、大盛況の舞台挨拶は幕を閉じた。

『ルックバック』は全国にて公開中。

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《シネマカフェ編集部》

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