フランソワ・オゾンの“美の女神(ミューズ)”
『17歳』
17歳――「美しい年」
あどけない少女と大人の女性との間で揺れ動くこの年を、劇中の登場人物が表現した言葉だ。美しく、無邪気で、好奇心にあふれ、危うい…ともすれば、一瞬でバランスが崩れてしまう“17歳”という年。そして、誰もがすべからく通過する時間だ。
本作でそんな17歳のヒロイン・イザベルを演じたのは、マリーヌ・ヴァクト。日本だけでなく、海外でも本作に出演するまでは、女優としては全くの無名だった。それもそのはず、彼女はモデルの世界からスクリーンの世界へとやってきたのだ。
彼女の魅力と才能を見出したのは、本作の監督にして、フランス映画界の旗手として活躍するフランソワ・オゾン。これまでに彼が見出した女優たちは、その後もスクリーンの中で“美の女神(ミューズ)”としていまなお世界中の人々を虜にし続けている。
『スイミング・プール』のリュディヴィーヌ・サニエ然り、『8人の女たち』のカトリーヌ・ドヌーヴ然り、『エンジェル』のロモーラ・ガライ然り、『ムースの隠遁』イザベル・カレ然り…ただ美しいだけではなく、女優という枠を超えた、彼女たちのスクリーンの中に生きる“女”としての魅力や輝きは世界中が認めるところだろう。
そんなオゾン監督が、少女でも大人の女でもない“17歳”という可憐にして混沌を極めた“女”を描く本作のために新たなミューズとして見出した、マリーヌ。昨年度のカンヌ国際映画祭で本作が上映された際には、「カンヌの夜に咲いた昼顔」と絶賛を浴び、これをきっかけに「ELLE」や「VOGUE」を始め世界中の女性誌や映画誌がマリーヌを“次世代のミューズ”として取り上げた。
本作でのマリーヌは、その天性の美貌を露わにするだけでなく、17歳独特の欲望や恐れ、小悪魔的な気まぐれ、脆さ、残酷さを体現する。この役は彼女でなければ…そう思わせらると同時に、彼女のふとした視線に、浜辺に立つその佇まいに、男に触れられたその瞬間の表情に、“17歳”だった頃のあなたが居るはずだ。
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