ここまで“水と油”の2人が、なぜに盗賊一味を作ろうなどと考えたのか…? 理解に苦しみつつも、2人の小気味良い掛け合いについつい引き込まれてしまう。「ふたがしら」の何よりの見どころは、タイトル通りの2人の“おかしら”――松山ケンイチ演じる豪放磊落を絵に描いたような熱い弁蔵と早乙女太一扮する冷静沈着な色男・宗次のコンビである。
松山さんと早乙女さんの存在そのものが不思議と物語の展開・役柄と重なっているのも興味深いところ。2人は昨年、「劇団☆新感線」の舞台「蒼の乱」で共演を果たしており、一座を共にし、同じ釜の飯を食った仲。松山さんにとってはNHK大河ドラマ「平清盛」以来となる連ドラ&時代劇だが、そもそも松山さんが原作コミックを読んで、実写化を熱望したところからこの企画は始まっており、「おもしれえ仕事をする」と新たな一味を作るべく一歩を踏み出した弁蔵さながらである。一方、早乙女さんはこれまでずっと大衆演劇「劇団朱雀」の看板を背負って活動してきたが、今年2月末に自らの決断で劇団を解散。本作が新たな旅立ちの一歩目であり、これまた宗次とリンクする。
“友情”と形容するほど暑苦しくもない、絶妙な2人の距離感もたまらない。決してホモセクシュアルな関係ではないのだが、弁蔵のわらじの鼻緒が切れると、宗次が黙ってスッと替えのわらじを差し出したり、酒乱の気のある弁蔵を、古女房のように宗次がなだめたり、なんとも言えない男2人の色気のある関係性に思わず胸キュン!? 普段、時代劇になじみのない女性も楽しめること請け合いである。
土曜オリジナルドラマ 連続ドラマW ふたがしら
6月13日(土)スタート(全5話)[第1話無料放送] WOWOWプライムにてスタート
毎週土曜 夜10:00
<ストーリー>
豪放な性格の弁蔵(松山ケンイチ)とクールな色男・宗次(早乙女太一)は、八王子の飛脚問屋で働いていた。
彼らの裏の顔は"赤目"を名乗る盗賊の一味。「脅さず殺さず汚え金を根こそぎいただく」のが赤目の仕事。
赤目の頭(かしら)・辰五郎(國村隼)を敬愛する2人は、夜な夜な仲間とともに悪人の屋敷に忍び込み仕事に精を出していた。
だがある日、辰五郎は2人の手を取り、「一味のこと、まかせた」と言って息を引き取ってしまう。
しかし、おこん(菜々緒)が預かった遺言状には、辰五郎の弟分・甚三郎(成宮寛貴)に跡目を継がせると記されていた。
納得のいかない2人は、赤目一味とたもとを分かち、旅立つ決意をする。そう…「でっかいこと」を成し遂げるために!
原作オノ・ナツメ「ふたがしら」(小学館ビッグコミックスピリッツ増刊「ヒバナ」連載)
監督入江悠(『ジョーカー・ゲーム』『SR サイタマノラッパー』)
脚本中島かずき(劇団☆新感線)(「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」「蛮幽鬼」「蒼の乱」)
音楽SOIL&“PIMP”SESSIONS(Victor Entertainment)
出演松山ケンイチ 早乙女太一 成宮寛貴 菜々緒 ・ 田口浩正 芦名星 村上淳 山本浩司 橋本じゅん 品川徹 ・ 國村隼
オフィシャルサイトhttp://www.wowow.co.jp/dramaw/futagashira/
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