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『ゲド戦記』レビュー

宮崎吾朗氏、第一回監督作品。アニメーション界の巨匠、宮崎駿の息子とあって、これが初メガフォンとは本当に驚き。もちろん、父を支えてきたベテランスタッフたちの協力あってのことだとは思うけれど、その完成度は立派なもの。ただ、きれいに完成していること=傑作ではありません、少なくとも映画の世界では。稚拙な演出に情熱がほとばしっていたり、ひとりよがりなまでの独創性が作家の個性を際立たせていたり。そういう意味では、壮大なる夢や切実な願いを作品に必死で練りこむ父・駿氏の作品の方が生き生きしていて若々しい。残念ながら、この作品には破天荒な独創性や、圧倒的な想像力は感じられないのだから。もちろん、父と比べられることを承知で、大役に挑んだ吾朗氏の勇気には感服。もしかして、立派な父親を疎ましく感じ殺害してしまう主人公の少年アレンと、父に反対されながらも監督となった吾朗氏の持つ葛藤&ジレンマは、ちょっと似た部分があるのかも。ところで、驚いたことがもうひとつ。ゲドって主役じゃないんです。タイトルから、てっきりそうかと思ったのに…。それゆえに、この映画がゲドってどんな人という興味をそそってくれたのは確か。原作が読みたくなりました。

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宮崎吾朗氏、第一回監督作品。アニメーション界の巨匠、宮崎駿の息子とあって、これが初メガフォンとは本当に驚き。もちろん、父を支えてきたベテランスタッフたちの協力あってのことだとは思うけれど、その完成度は立派なもの。ただ、きれいに完成していること=傑作ではありません、少なくとも映画の世界では。稚拙な演出に情熱がほとばしっていたり、ひとりよがりなまでの独創性が作家の個性を際立たせていたり。そういう意味では、壮大なる夢や切実な願いを作品に必死で練りこむ父・駿氏の作品の方が生き生きしていて若々しい。残念ながら、この作品には破天荒な独創性や、圧倒的な想像力は感じられないのだから。もちろん、父と比べられることを承知で、大役に挑んだ吾朗氏の勇気には感服。もしかして、立派な父親を疎ましく感じ殺害してしまう主人公の少年アレンと、父に反対されながらも監督となった吾朗氏の持つ葛藤&ジレンマは、ちょっと似た部分があるのかも。ところで、驚いたことがもうひとつ。ゲドって主役じゃないんです。タイトルから、てっきりそうかと思ったのに…。それゆえに、この映画がゲドってどんな人という興味をそそってくれたのは確か。原作が読みたくなりました。



『ゲド戦記』
配給:東宝
劇場情報:7月29日より全国東宝系にて公開
(c)2006二馬力・GNDHDDT

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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