色がないゆえに感じる恐怖と、その対極にある無感情を同時に感じる『13/ザメッティ』レビュー
ピストルを向けられ、大きく見開いた青年の目。そして“13人同時ロシアンルーレット”という想像つかない状況。色のない世界の中で明らかに異常な空気が漂っている『13/ザメッティ』。家計を助けるため仕事に励む青年が手に入れた幸せへの切符は、死ぬか生きるか、ではなく、殺るか殺られるか、という“人間”として極限の状況へと彼を導いた。
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生と死の狭間で理性を失った人間の“極限”の恐怖。色のない映像の中では、たとえ死人から血が流れようと、その生臭さは感じられない。汚いもの、そして美しいものも同じように映し、色による視覚的な怖さを与えない。しかし、黒と白の映像は、無機質や無感情といったような冷たいイメージを抱かせる。感情のコントールを失った1から13まで番号づけされているプレーヤーたちの目、言葉、そしてしぐさに表れる、死ぬ覚悟が不確かで隠しきれない動揺を、共感・同情を得ることなく観察してしまった。
淡々と進んでいくゲームの中で血走ったプレイヤーの白目、シャツに染み渡る黒い汗、ゲームを楽しむ見物人の煙草の白い煙、そして運命を決定づけるランプの点灯音…白と黒と、そして反響する音と、独自のムードを持ちながら織り成される恐怖に、手に汗かくことなく酔ってしまった。もし本作がカラーであったら耐え切れなかったかもしれない。ゲーム上のバーチャル空間では簡単に人間を殺害できる現代で、このような映画の試みは新鮮に感じられた。
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