自身に潜む芸術性と感情をエロティックに解放するダイアン・アーバスの物語
『セクレタリー』('02)でSM行為に耽る上司と自傷癖のある秘書の関係を描き、世界から注目を浴びたスティーヴン・シャインバーグ監督。彼が次の題材に選んだのは伝説の写真家ダイアン・アーバスだ。パトリシア・ボズワースの伝記「炎のごとく 写真家ダイアン・アーバス」をベースにした芸術と愛とエロスの物語であるが、いわゆる伝記風に仕上げるのではなく事実に虚構をアレンジ。貞淑な写真家の妻が多毛症の隣人と出会うことで自身の中にある芸術性と感情を解放していく姿をエロティックに美しく炙り出していく。
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「主人公・ダイアンが体験するトリップ感覚は、“不思議の国のアリス”のそれそのものなんだ」と監督。夫とともに一流ファッション誌のヴォーグやグラマーの誌面を飾った写真家でありながらも後に結合双生児、同性愛者、フリークスの人々を被写体に選んだのは何故なのか。その心の変貌をニコール・キッドマンが妖艶に演じている。
また、ダイアンの芸術への想いを開花させるきっかけとなる男・ライオネルの容姿は“美女と野獣”からヒントを得て全身毛むくじゃら。ロバート・ダウニーJr.の男前な顔が毛に覆われてしまっているのは女性ファンとしては非常に残念だが、隠されているからこそ惹かれる、見えないから見たくなるという覗き見の心理を掻き立てる重要なキャラクターである。
監督がダイアンの代表作であるユダヤ人の大男の写真に触発され、彼女がフリークスにのめり込んでいった謎に迫ったように、そしてダイアンがライオネルに惹かれたように、この映画が自身の変貌のきっかけになる人もいるかもしれない…。
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