僕が映画監督になったのは運命だった──。マーク・フォースター監督が最新作を語る
もしも自分の人生が、見も知らぬ他人の手によるものだったら? 自分が小説の主人公だったとしたら? 自分では、自身の人生を歩んでいるつもりでも、それが全くのフィクションだったとしたら…? そんな設定で描かれる物語『主人公は僕だった』の監督、マーク・フォースター。落ち着いた雰囲気で淡々と話す監督に話を聞いた。
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
「この作品はコメディだよ。でも、普通のコメディとは違っていて、主人公自身がこれはコメディなのか悲劇なのか分からないんだ」と作品について語る。その主人公、ハロルド・クリックを演じているのは『プロデューサーズ』のウィル・フェレル。日本ではまだ認知度は低いが、先日もアメリカで大ヒットとなった『ブレイズ・オブ・グローリー(原題)』にも出演している、全米で大人気のコメディ俳優だ。
「最初にキャスティングしたのが、ウィルだったんだ。その理由として一番大きいのが、やはり、ごく普通の人間に見えるということ。国税庁で働いているまじめな男という設定にも納得できるでしょ? それにウィルは、ハロルドの持つ孤独感もにじみ出せる俳優だからね。コメディアンを起用して少し抑えたドラマティックな役を演じさせる方が、ドラマティックなキャラクターを得意とする俳優をおかしく見せるよりは楽だと思ったんだ」。
このハロルドという男、歯磨きの回数からバス停へ向かう歩数、寝る時間まで、毎日決まっている。そんな几帳面すぎるほどの彼が無理矢理自分の人生のリズムを崩そうとする中で、意図せずしてパン屋を営むアナに恋してしまう。そのアナを演じたのはマギー・ギレンホール。
「一番最後に俳優が決まったのがアナの役だったんだ。マギーを選んだのは『セクレタリー』が良かったから。とにかく素晴らしい女優だよね。アナというキャラクターを実在の人物として信じられる。そういうリアルな演技ができるんだ。ウィルと本読みをしてもらったんだよ。その時の化学反応というか相性が良かった。その辺が決め手になったね」と大絶賛だ。
自分に起こった出来事を“運命”の一言で片づけなかったハロルド。むしろ逆らうようにして、会社を休み、ギターを始め、アナと恋に落ちるのだ。その“運命”について監督はこう語る。
「僕は物事というのは起こるべくして起こると信じているんだ。その時は気づかなくても、こうなったのが最良だったのだ、と後になって気づいたりする。それは何か運命的に起こるべくして起こったんだと思うんだよ。僕はスイスで幼少時代を過ごしたんだけど、その頃『映画を作りたい』と言っても、みんなに『無理だよ、夢を見ているんだよ』と言われ続けていた。でも今僕はこうして映画監督をやっている。夢が現実になった時に、誰も信じてくれなかったけど僕が映画を撮るのは僕の運命だったんだと思ったんだ」。
『チョコレート』で、ハル・ベリーにアカデミー賞主演女優賞をもたらし、『ネバーランド』では、ジョニー・デップを、誰もが知っているファンタジー「ピーター・パン」の原作者に仕立て上げたマーク・フォースター監督。『主人公は僕だった』で、大人気コメディアン、ウィル・フェレルに何をさせたのか、是非その目で確かめて欲しい。
《シネマカフェ編集部》
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