本当はベラベラ喋る役だった? 浅野忠信主演最新作の監督が語る
『6IXTYNIN9 シックスティナイン』や『わすれな歌』など、作品のほとんどが、各国の国際映画祭で高い評価を得ているペンエーグ・ラッタナルアーン。そして、脚本家のみならず、グラフィックデザイナー、フォトグラファーとしても活躍しているプラープダー・ユン。タイ映画界を代表するこの2人のクリエイターが『地球で最後のふたり』に続いてタッグを組んだのが、海から海へと漂う船のように、とらえどころのない、そして帰る場所を失った男の魂を描いた『インビジブル・ウェーブ』だ。ラッタナルアーン監督とユンに、作品について話を聞いた。
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本作の主人公であるキョウジを演じるのは、アジアで活躍する個性派俳優・浅野忠信。『地球で最後のふたり』に続く起用となった。
「最初、浅野さんはキョウジがプーケット島で出会う男・リザード役をお願いしようと思っていました。浅野さんに、『セリフをいっぱい用意して、君が終始しゃべり続けているような役を考えてるんだけど、どうだい?』と言ったら『やる、やる!』と言ってくれたんだ」と監督は言う。
このリザードという男、とにかくよく喋る。しかも、ところ構わず大声で歌い出すのだ。普段の浅野さんとはかなりイメージが異なるが…。
「浅野さんは俳優というより僕たちにとっては友人なんだ。だからすごく信頼しているよ。もちろん俳優としてもね。だからこそ、浅野さんが普段やらないような役を演じてもらうのが面白いんじゃないかと思ったんだ。彼も結構ノリノリだったよ。というのも浅野さんっていつも静かで悲しげな雰囲気であまりアクションがない役というようなイメージでしょ? でも、キョウジの役を引き受けてくれる人がいなかったんだ。だから主役に昇格したんだよ(笑)」(監督)。実際にリザードを演じたのは光石研。浅野さんだけではなく、日本映画界を支える名優・光石さんのキレっぷりにも注目したい。
本作では、浅野さんと光石さんのやりとりがあるため、日本語のセリフが多く出てくる。それについてユンさんは、「日本人同士であれば日本語を話すのが自然ですよね。でも僕には日本語は分からないので、いつも通り英語で書くしかなかったんだ。翻訳されたセリフが、同じニュアンスを持っていることを願うしかないよ。もし日本語が分かっていれば、もっとウィットに富んだ言い方とか、もうちょっと気の利いた表現が出来たかもしれない。でも、そもそも浅野さんは日本の映画でもあまりしゃべってないよね(笑)」と語ってくれた。…確かに。しかし、とにかく喋りまくるリザードのキャラクターは立っているし、それと対照的なキョウジの物静かな雰囲気がうまくはまっていることは間違いない。
「浅野さんの隠れた魅力というか、知られざる魅力というのは声だと思うんだ。あと話し方。もちろん彼は見た目も良くて、すごく格好いいけど、彼が何か話す時って、彼が思っていない、感じていないことは言わないんだよ。だから、彼が話したことというのはすごく力を持つんだ」と、友人としてだけではない浅野さんの魅力を語ってくれた監督。今後も、同様のコラボレーションが観られることを期待したい。
《シネマカフェ編集部》
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