『アズールとアスマール』でテリー伊藤&千原ジュニアが司会者いらずのトークバトル
『キリクと魔女』で高い評価を得たフランスアニメーションの第一人者、ミッシェル・オスロ監督の最新作『アズールとアスマール』の日本語吹き替え版が、スタジオジブリの監修の下で製作され、先日より公開されている。8月14日(火)、本作の公開劇場であるシネマ・アンジェリカ渋谷にて、テリー伊藤と漫才コンビ「千原兄弟」の千原ジュニアをゲストに迎えてのトークイベントが開催され、速射砲のように展開される2人のトークに会場は大きな盛り上がりを見せた。
最新ニュース
レポート
-
「思ったよりお似合い」イ・ジョンソクとムン・ガヨン、香港での目撃談が話題!
-
『キリクと魔女』の鬼才×スタジオジブリ『アズールとアスマール』初日舞台挨拶
-
「短くて面白い」が選ばれる新時代――新たな配信サービスの挑戦

まず口火を切ったのはテリーさん。「普段、TVの情報番組で日常的なことばかりを扱っているので、こういう作品を観ると、どこか違うところに飛んでいけるような気持ちになりました。和食ばかりの生活の中で全く違う文化に触れたというか、学生時代に生まれて初めてピザを食べたときのような衝撃でした」と独特の語り口で作品について語ってくれた。
千原さんは「絵が見たこともないようなもので、すごいと思いました。最初は敷居が高い感じで決して入りやすくはないですが、一度入るとのめりこんでしまうような感じでした」と語る。これを受けてテリーさんはキャラクターに関しても「普通は観る人に好かれるキャラクターにしたがるものだけど、この監督はそこに持っていこうとしない。キャラクターに対して違和感や距離が確実にあるんだけど、それがあるからこそ観る側も『もっと知りたい』と引き込まれていく。大衆に合わせようとしないのはすごいですね」とその独創性を讃えた。
本作では兄弟同然に育った2人が異文化の間で、ときにぶつかり合いながらも、やがて分かり合う姿が描かれる。千原さんは「ぼくが何でここに呼ばれたのか未だにわかりませんが、“兄弟”というテーマでだとしたら、(ここにいない兄の)せいじがあまりにも残念ですね」と相方を気づかう(?)様子も見せた。かと思いきや、せいじさんをネタに子供時代の兄弟げんかのエピソードを披露。「オムライスの大小でけんかになって、せいじが『家出する』言うて食卓から出て行ったんです。玄関開ける音がしないからどうしたのかと思ったらローラースケート履いてまして。『こいつは家出のときすら楽しむ気か!』って度肝抜かれました」と語ると会場は笑いに包まれた。
テリーさんは作品の大きなテーマである異文化の理解に触れ、誰にこの映画を観てほしいか? という問いに「朝青龍関ですね」と即答。「横綱と高砂親方、北の湖理事長の3人が同席して観てほしい。観終わったあと、涙流して話し合うよ」と時事ネタをふまえてコメントしてくれた。
気に入ったキャラクター、シーンについて千原さんはこう語る。「アズールとアスマールの2人の間にいるメガネのクラプーが好きですね。あの時代にも“芸人”がいるってことが素晴らしい。また、作品全体の魅力は、深く掘り下げ過ぎずにあっさりと展開していく“潔さ”だと思います。特にアズールが船で波にさらわれて遭難するところの展開の速さは笑っちゃいました」。これに頷きながらテリーさんも「理詰めではなく、予定調和でもなく物語が展開していくのがおもしろい。ぼくは母親のジェナヌが好きです。ヨーロッパで乳母をお払い箱になっても、祖国に帰ってリッチになるところがたくましいですね。これが日本の物語だと、ますます貧しくなっちゃいますから。母の強さ、女のたくましさが魅力的です」と語った。そしてテリーさんは来場した観客に向けて「今の時代、ファッションにしろ何にしろモノマネが多いけど、そんな必要ないんだ、と教えてくれる映画です。人生の参考になると思いますのでいろいろ感じてください」と呼びかけた。ゲスト2人が揃ってそのオリジナリティを絶賛する『アズールとアスマール』はシネマ・アンジェリカ渋谷ほか全国にて公開中。
《シネマカフェ編集部》
特集
関連記事
この記事の写真
/