デップにボノにスコセッシがジョー・ストラマーについて語るドキュメンタリー
「ザ・クラッシュ」のフロントマン、ジョー・ストラマーの生涯を追うドキュメンタリー『LONDON CALLING/ザ・ライフ・オブ・ジョー・ストラマー』。親交の深かったジュリアン・テンプル監督が、2002年に心臓発作でこの世を去った彼のリアルライフに迫っている。
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
クラッシュ時代の映像だけではなく、幼少期のホームビデオ映像なども挿入され、“ザ・ライフ・オブ・ジョー・ストラマー”の副題にふさわしい内容になっているのがポイント。パンクの名の下に時代を駆け抜け、人々に絶大な影響を与える一方、その名声とイメージの一人歩きに戸惑いもする生身の男の生きざまが感じられる。
有名人たちがコメントを寄せる豪華なドキュメンタリーは多々あるが、この作品でストラマーとの思い出を語る有名人たちも揃って豪華。ジョニー・デップ、マーティン・スコセッシ、U2のボノ、プライマル・スクリームのボビーらが登場するが、彼らのコメントが作品の一部として違和感なく機能しているのがいい。クラッシュ後のストラマーが始めたキャンプファイア・イベント“ストラマーヴィル”に倣い、極めてパーソナルな空間を焚き火の前で演出しながら、彼への思いを吐露する姿から無数の幸せな人間ドラマが見える。
とは言え、去りし人の偉大さを讃えるだけの内容には陥らず、その繊細さで社会の流れに胸を痛める傍ら、若気のいたりと言ってもいいかもしれない傲慢さを持ち合わせていたストラマーの内面も示唆される。その二面性が年齢を重ねるという変化によって転換期を迎える過程にも、またドラマがある。
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