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「伝記ではなく愛の物語」『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』オリヴィエ・ダアン監督

「バラ色の人生」、「愛の讃歌」など数々の名曲を残し、いまなお世界中で愛され続けるシャンソン歌手、エディット・ピアフの人生を映画化した『エディット・ピアフ 〜愛の讃歌〜』。本作を、本国フランスで国民の10人に1人が映画館に足を運ぶという大ヒットに導き、このほどプロモーションのために来日したオリヴィエ・ダアン監督に話を聞いた。

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『エディット・ピアフ 〜愛の讃歌〜』
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「バラ色の人生」、「愛の讃歌」など数々の名曲を残し、いまなお世界中で愛され続けるシャンソン歌手、エディット・ピアフの人生を映画化した『エディット・ピアフ 〜愛の讃歌〜』。本作を、本国フランスで国民の10人に1人が映画館に足を運ぶという大ヒットに導き、このほどプロモーションのために来日したオリヴィエ・ダアン監督に話を聞いた。

伝説のシャンソン歌手の半生の映画化ということで監督にもさぞやプレッシャーがあったのでは、と思いきや監督からは意外な答えが。
「彼女は確かにフランスで国民的な歌手ですが、実は私は彼女のファンではなかったんです。私が自分自身に課した内なるプレッシャーを別にすれば、人々がこの作品を観て、どう思うだろうかといったプレッシャーは全く感じませんでした。むしろファンではなかったからこそ、こうしたプレッシャーとは無縁で作品を撮ることができたのではないかと思います」。

映画はピアフの半生を描いてはいるが、時間軸通りに物語が進むのではなく、様々な時代が前後して描かれる。
「脚本の執筆時点ですでに、いろんな時代を混ぜて書き進めていきました。時系列的に事実を並べていくよりも、この方が感情豊かな作品になるのでは、と思いました。私は伝記作家ではなく映画監督です。伝記のように、時系列や事実にとらわれるのではなく、クリエイティブな部分を残したいと考えてこうしたスタイルを取りました」。

だが、実在の人物を描くという点では、苦労もあったという。
「(ピアフを演じた)マリオン・コティヤールは、ピアフと比較すると大柄で美人ですよね。メイクアップ、それからヘアスタイルを工夫して、彼女の外見をピアフ本人に近づけていきました。特にフランス人の中にはまだ、ピアフの存在を記憶の中に留めている人が多くいます。そういった意味で、外面的にどうやってマリオンをピアフに見せるか、という点は苦労しました」。

劇中では本物のピアフの歌声が使われているが、この点についてはこう語る。
「音楽に対するこだわりというのはありました。一番本質的な部分だと、私の中では捉えていました。プロダクション、製作会社の方は、彼女の歌を作品の中で使えるように1年かけて交渉してくれたんです。マリオンに対する演技指導に関しても、本物の歌手に見えるように心がけました。特に、最も重要だと考えていた、ホールでプレイバックで歌うときですね。本物のエディット・ピアフが歌っているように見えるように演技指導しました」。

興味深いことに、こうした監督のディティールへのこだわりが、俳優陣の役作りのアプローチにまで影響を与えた部分があるという。
「撮影監督、美術、衣裳担当やその他の技術スタッフと綿密に打ち合わせをし、まずはバックグラウンドを整えていきました。例えば、1930年代パリのベルヴィルを、当時の様子に近い形で復元するとかね。こうして舞台を整えた上で、マリオンを始めとする俳優たちが、直感を働かせて演じやすいようにしていきました。つまり、まず役作りをさせるのではなく、最初に舞台を整えて、俳優が演じやすい環境を整えていったのです」。

“直感”という言葉が出たが、マリオン・コティヤールの起用も監督自身の直感だったとか。
「そうとしか言いようがありません。脚本を書き始めて2、3ページで、彼女がいいんじゃないかと思ったんです。これまで一緒に仕事をしたわけでも、個人的に知ってるわけでもなかったのですが。プロデューサーも最初は『なぜ、彼女にしたんだ?』と、分かってくれなかったんです。最終的には納得してくれましたが」。

「ピアフのファンではなかった」、「直感」といった言葉から、映画作りに対する自由なスタイルを感じさせるダアン監督。最後に日本のファンに向けてメッセージを贈ってくれた。「ピアフの歌詞を見れば分かりますが、ほとんどが愛の歌です。その愛の歌、愛の物語というのは、普遍的なものだと思います。この映画をピアフの感情、恋愛の物語と捉えて、気に入っていただけたらと思います」。

《シネマカフェ編集部》

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