役所広司、今井美樹が「本当の家族になった」と口を揃えた『象の背中』完成会見
仕事は順風満帆で家族にも恵まれた48歳の男に、突如として告げられた余命半年の宣告。男が選んだのは延命治療ではなく、残りの人生を全うすることだった——。秋元康の初の長編小説を映画化した『象の背中』。本作の完成披露試写会と記者会見が9月27日(木)に行われ、秋元康に加え、役所広司、今井美樹、塩谷瞬、南沢奈央の俳優陣が出席した。
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肺がんに冒された主人公・藤山幸弘を演じた役所さんは、撮影を通じての自らの死生観の変化についてこう語る。「今までは、自分の死というものについて、フッと考えてはすぐに忘れるという感じでしたが、この映画の撮影中は『もし自分がこの立場だったらどうするか?』ということを常に考えていました。幸弘の選択は、自分にとって、ある種の憧れと言えるかもしれません」。今井さん、塩谷さん、南沢さんについて「撮影や、その合間の雑談を通じて本当の家族みたいになった」と語る役所さん。彼らの存在は劇中の“擬似家族”以上の、非常に大きな存在になった様子。「撮影を通じて一緒にいる中で、『この子たちを残して逝くけど、母さん(今井さん)にはいろいろとお願いすることになるな』とか『俊介(塩谷さん)にはもう少ししっかりしてもらわないと』とか考えてしまいましたね」。実際、この日の会見でも並んで座る4人は、本物の家族のよう。映画を離れた今でも、お互いを“父さん”、“母さん”、“俊介”、”はるか”と呼び合っているのだという。
役所さんが「自慢の息子と娘です」と胸を張る、塩谷さんと南沢さん。それぞれの作品への思いを交えながら、見どころについて語ってくれた。まず塩谷さんが挙げたのが、俊介と母・美和子がリビングで話をする場面。「俊介の背負ってきたものが少し楽になる、大切なシーンです。撮影に入る前に、リビングのセットについて、どうしてこういうセットにしたのかを美術監督さんに聞いたんです。そうしたら『監督のこだわりで、お母さんがキッチンで料理を作りながら家族を見渡せるようにした』ということでした。こうした部分も観ていただけたらと思います」。
また、本作が映画初出演となった南沢さんは、劇中でチアリーディングを披露する。「1か月半ほど、がんばって練習してきましたので、ぜひ注目して観て下さい」と観客に呼びかけた。
20年ぶりの映画出演となる本作で、幸弘の妻であり、子供たちの母である美和子を演じた今井さんは「最初は『私に何ができるんだろう?』という感じでした。でも、撮影に入って役所さんと接するうちに『こういう夫と暮らしている妻はどんな感じだろう?』と、頭からではなく心で導かれて、美和子になることができました」と語る。幸弘の選択について「家族としては少しでも長く生きるための治療をしてほしいですよ」と正直な気持ちを語る一方で「もし自分が見送られる側の立場になったら、“自分がどうしたいか”ではなく、“家族のために”、“迷惑をかけないために”と考えてしまうかもしれない。でもこの映画を通して、“こうしたい”という思いを家族が受け入れる、という愛の表現ができたと思います」と語ってくれた。
原作の秋元さんも「小説では伝えられない部分が描かれています」と太鼓判を押す、観る者に生き方、そして死に方を考えさせずにはいられない『象の背中』。10月27日(土)より全国にて公開。
《シネマカフェ編集部》
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