ファッション小噺vol.60 おしゃれなモノクローム・アニメ 『ペルセポリス』
フランスから、素敵なアニメーションが届きました。2007年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門で審査員賞を受賞した『ペルセポリス』。1970年から20年間にわたって描かれる少女・マルジャンの物語で、祖母、母、娘と3代にわたる家族のエピソードがユーモア混じりに描かれている作品です。本作がユニークなのは、舞台が混迷するイランであるということ。戦争による空爆、圧政、隣人の密告など、過酷な現実に脅かされながらも、ロックミュージックを愛する反抗心いっぱいのマルジと、ユーモアを忘れずに人間らしく生きようとする家族の姿が胸を打つのです。
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
もともとは同名のグラフィック・ノベル。日本でもすでに発売されているのでご存知の方もいるかもしれません。今回の映画化は、原作者であるマルジャン・サトラピが映画監督デビューを果たしたことでも話題に。母娘の声で、カトリーヌ・ドヌーヴ&キアラ・マストロヤンニの2人が母娘共演していることも注目のひとつとなりました。
2人が惚れこんだという原作。すでに16か国で翻訳され、ベストセラーとなっているのだとか。そこに描かれる家族の歴史とそこから生まれる教訓などストーリーも魅力ですが、繊細な物語を包みむように描かれている絵のタッチがまた素敵。そのタッチを失わないようにしたためか、映画版アニメーションもモノクロのまま(一部、カラー)。イラストレーターとして、現在パリを拠点に活躍するマルジャンの作風がよく生かされていて、原作のファンでも大満足のはずです。何しろ作者本人が監督しているのですから、これ以上は望めないということでしょう。
今回、彼女の作品に初めて触れる方の中にも、その才能にすぐ魅了されてしまう人がいるはず。私も、映画を機に、そのイラストが持つ不思議な温かみと普遍性にぞっこんになり、グラフィック・ノベルに手を伸ばしました。そして、キャラ好き日本人の一人として、“マルジ”Tシャツとか、“マルジ”ストラップとか、できたらいいのにと思っている今日この頃。でも、実は一番好きなキャラクターは、マルジを優しく、ときに厳しく見守るおばあちゃん。おばあちゃんTシャツというのも、なかなかいいかも…。
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