吉永小百合、思い出の地・川口凱旋に市民は大拍手 『母べえ』特別試写会
まもなく戦争が始まろうとする昭和15年から16年にかけての東京の郊外を舞台に、情愛深い母を中心に困難な時代を生きる一家のドラマを描いた『母べえ』。1月26日(土)の公開を前に本作の特別試写会が、本作のロケ地である埼玉県の川口市で開催された。上映前には、主演の吉永小百合を始め、浅野忠信、檀れい、志田未来に佐藤未来、そして山田洋次監督と原作者の野上照代を迎えての舞台挨拶が行われた。
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川口市と吉永さんのつながりは40年以上前にさかのぼる。1962年に製作された吉永さんの代表作のひとつ『キューポラのある街』はここ川口市が舞台となっている。全国各地を回った本作のプロモーションの最終地として川口市に帰ってきた吉永さんを観客は温かい拍手で迎えた。吉永さんは感激した表情で「私は普段、あまり過去をふり返ることはせず、なるべく前を見ていたいと思っているのですが、『キューポラのある街』という作品、そして川口という地への思いには特別なものがあります」と語った。この日の舞台挨拶には、市内の小学生も招待された。吉永さんは「私はこの子たちと同じくらいの歳の頃に『二十四の瞳』という映画を観て感動し、胸を熱くしました。『母べえ』を観て、同じように何か感じてもらえたら嬉しいです」と語ってくれた。
山田監督はこの川口に作られた大規模なセットでの撮影をふり返り「この街に昭和16年の広い住宅地を作り上げたんですが、撮影が終わると同時に全部取り払われてしまいました。まさに幻のように消えて元の野原になってしまったときは、本当に悲しかったです。みなさん、スクリーンに映し出される街を観て、これは川口で作られたということを感じながら楽しんでいただけたら嬉しいです」と語ってくれた。
原作の野上さんは「監督、キャストの方々が大切にこの作品を育てて素晴らしい映画になりました。私がその小さな種をまいたんだな、と思うと本当に幸せです」と感慨深そうに語った。
続いて一家の面々に話を聞いた。長女の初子を演じた志田さんは「私自身、この映画を通じて家族の大切さや絆を改めて知りました。みなさんも今日、この映画を観て家族について考えていただけたらと思います」と語った。そして次女の照美、つまり原作者の野上さんの幼い頃を演じた佐藤さんは、“母べえ”吉永さんについて聞かれ「すごく優しかったです。休みの時間に紙風船で遊んでもらったり、お昼に“母べえ”の控え室に行って昼ご飯を作ったりしました」と笑顔で語ってくれた。
そして野上一家を献身的に支える山崎を演じた浅野さん。実は浅野さんにも意外な川口市とのつながりが。「実は妻(ミュージシャンのCHARAさん)の実家が川口で、義父と義母がいまもこの街に住んでるんです。僕にとって第二の故郷であり、リラックスして撮影に臨むことができました」という。そして野上家の主人・滋の妹の久子を演じた檀さん。「私が撮影で川口を訪れたのは一度だけだったので、今日こうしてここにに来れたことを幸せに思います」と笑顔で語った。山田監督が「ちゃぶ台を囲んで一家で肩を寄せ合って食事をしていた時代がなぜ懐かしいのか。いまの時代の方が物は豊かですが、あの時代と比べて何かなくなってしまったものがありはしないか。作り手としては、そんなことを考えていただければ嬉しいです」と語る『母べえ』。公開は1月26日(土)より全国にて。
《シネマカフェ編集部》
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