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「顔合わせで柳楽優弥を見て“勝った!”と思った」堤幸彦監督『包帯クラブ』を語る

心に傷を持つ人のために、その人が傷ついた場所に包帯を巻くことで傷を癒やそうとする若者たちの活動を描いた『包帯クラブ』。昨年9月に公開され、本年度のブルーリボン賞の作品賞、監督賞にノミネートされるなど高い評価を受けた本作のDVDが、2月15日(金)に発売される。本作でメガホンを握った、邦画界きってのエンターテイナー・堤幸彦監督に話を聞いた。

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『包帯クラブ』 堤幸彦監督
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心に傷を持つ人のために、その人が傷ついた場所に包帯を巻くことで傷を癒やそうとする若者たちの活動を描いた『包帯クラブ』。昨年9月に公開され、本年度のブルーリボン賞の作品賞、監督賞にノミネートされるなど高い評価を受けた本作のDVDが、2月15日(金)に発売される。本作でメガホンを握った、邦画界きってのエンターテイナー・堤幸彦監督に話を聞いた。

本作でまず驚かされるのは、主人公のディノを演じた柳楽優弥の“変身ぶり”。これまで内気な性格の少年を演じることの多かった柳楽さんが、本作では奇妙ないでたちで怪しい関西弁を操るディノを熱演し、新境地を開いている。監督はどのような意図でこの配役を決めたのだろうか。
『シュガー&スパイス 風味絶佳』を観たときに、おとなしい芝居なんだけど、もしかしたら“はっちゃける”要素があるんじゃないか? 実はそうしたがってるんじゃないか? と感じてオファーを出しました。もしそうじゃなかったら…という思いはあったんですが、彼は顔合わせのときに“変なテンガロンハット”をかぶって、“おかしな関西弁”を使いつつ『ディノってこんな感じですか?』って言いながら現れた。このとき“勝った!”って思いましたね(笑)」。

柳楽さんを始め、“包帯クラブ”のメンバー6人を集めて、クランクイン前にロケ地である高崎に赴き合宿も行った。
「撮影を前に正直、自分の息子・娘とも言えるような年齢の役者さんとやっていけるのかという心配がありました。だからまず、ジェネレーションギャップを埋めたかった。それから、街の空気になじんでもらうということですね。いくら台本や原作があっても、そこで動いて演技をして、息をしてもらわなくてはならない。僕の案内でロケバスからボーっと街を眺めてもらったり、撮影を予定している現場で突然芝居をやらせたり。高校の演劇部みたいな雰囲気でしたね(笑)」。

この高崎市に対して監督は、並々ならぬ愛着を感じているようだ。実際、劇中でも街の描写に多くの時間が割かれている。
「原作に描かれている街の様子の中で、一番引っかかったのが“新幹線が走っている”という点でした。これは、その気になれば東京に行ける——“東京に行って一旗上げようか?”と微妙に悩むところなんです。行こうと思えば行けるけど、行かない人たちもいることが重要で、そこにドラマがある。高崎に関しては、行ってみると原作の描写といろいろなことがピッタリ合っていたんです。三方が山に囲まれて東京に向かって開いてるのも気に入りました。ここしかない、ここに包帯を巻きたいと感じて決めました。頼んでないのにパンクな髪形にされてしまう美容院のくだりがありますが、普通はまずないですよね。でもロック大好きな若者の多い高崎だと、妙にリアリティがあるんです。劇中の飲み屋のシーンでも奥の方に、ロンドン辺りにいそうなトサカ頭のパンクな外国人が映ってたりするんです。本編とは全く関係ないんですけどね。役者たちも東京から通おうと思えば通えるのに、みんな安いビジネスホテルに泊まって和気あいあいとやってました。何かしらの思いをあの街に残すことが出来たな、という気がしています」。

本作公開後の観客の反響を監督はどのように受け止めているのだろうか。
「興行的に大ヒットしたとは言えませんが、観た方の満足度が非常に高いと聞いて、すごく嬉しかったですね。あと、年配の方から『すごく良かった』と言っていただいたり、男性で感動されたという方が多かったことにも驚きました。この作品は不思議な立ち位置にある作品で、自分の中でも温かい記憶としてずっと残っていくと思います」。

本作や2006年の『明日の記憶』などの近年の作品と、それまでの監督の作品との作風やジャンルの違いを指摘する声もあるが、監督自身は「特に違いは感じていない」と言う。
「元々、いろいろなジャンルの作品を分け隔てなく監督できるようになりたいと思ってますし、本作のような静かな作品を意図的に避けていたということもないです。あくまでもこれまでの延長線上にあるという感じですね。自分のことは定食屋の親父みたいに考えてまして(笑)、昨日はカレーだったから今日は寿司にしよう、というくらいの気持ちです。もちろんカレーにも寿司にも職人の魂と腕があって、おいしくないと定食屋は廃れてしまいます。おいしいものをいかに次々と作れるかに面白みを感じています」。

この言葉通り、2008年の堤監督は、TVドラマを映画化した『銀幕版 スシ王子! 〜ニューヨークへ行く〜』に始まり、夏には60億円をかけて製作予定の『20世紀少年』、秋には吉永小百合主演の『まぼろしの邪馬台国』と、大きな話題を呼びそうな作品の公開が目白押しである。邦画を代表する“定食屋の親父”から今年も目が離せそうにない。

『包帯クラブ』通常版
価格:3,990円(税込)

『包帯クラブ』プレミアム・エディション(初回生産限定)
価格:6,090円(税込)
発売元/販売元:ポニーキャニオン
発売日:2月15日(金)
備考:レンタルDVDは東映ビデオより

《シネマカフェ編集部》

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