トゥヤーの、母として妻として、女性として凛とした強さが美しい『トゥヤーの結婚』
トゥヤーは内モンゴルの荒野で夫と幼い息子と共に暮らしている。ダイナマイト事故で下半身が麻痺してしまった夫の代わりに、10キロ以上離れた井戸へ水を汲みに行くのも、畑を耕すのも、羊を放牧するのも彼女の仕事。そんな妻の苦労を見かねた夫のバータルは意を決して離婚を切り出すが、トゥヤーはバータルとも一緒に生活し養ってくれる人と再婚するという条件を出す…。
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コン・リーにしても、チャン・ツィイーにしても言えることだが、中国出身の女優はただ単に美しいだけではない凛とした強さを感じさせる。この『トゥヤーの結婚』でヒロインを演じたユー・ナンもしかり。家族の幸せを願ったとはいえ、夫同伴の再婚は相当な覚悟がないとできない決断だ。
それを見事に演じきったということは、ユー・ナンにもその強さがあった証。妻として母として女として様々な表情を見せるトゥヤーに真の美しさを感じることだろう。
また、砂漠化の進む中国内モンゴルでは遊牧民を強制的に都市へ移住させる“生態移民”政策がすすめられ、監督のワン・チュアンアンは「遊牧民の生活が永遠に失われてしまう前に彼らの生活をフィルムに収めておきたかった」と語っている。第57回ベルリン国際映画祭で金熊賞(最優秀賞)を受賞した背景には、そんな時代の変化を記録したことへの賞賛も含まれているのかもしれない。
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