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「戦争を知らない現代人だからこそインパクトがある」『明日への遺言』インタビュー

第二次世界大戦後に各地で占領軍によって行われた戦犯裁判。責任を部下に押しつけて罰を逃れようとする日本人将校が多い中、部下を守って全責任を負い、なお米国の無差別爆撃を国際法違反だとして糾弾した岡田中将という人物が実在した。彼の毅然とした態度は傍聴人ばかりか裁判を取り仕切る米国側の検察、判事らの心をも動かしていく。

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『明日への遺言』 (左から)フレッド・マックイーン、リチャード・ニール、ロバート・レッサー
『明日への遺言』 (左から)フレッド・マックイーン、リチャード・ニール、ロバート・レッサー 全 3 枚
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第二次世界大戦後に各地で占領軍によって行われた戦犯裁判。責任を部下に押しつけて罰を逃れようとする日本人将校が多い中、部下を守って全責任を負い、なお米国の無差別爆撃を国際法違反だとして糾弾した岡田中将という人物が実在した。彼の毅然とした態度は傍聴人ばかりか裁判を取り仕切る米国側の検察、判事らの心をも動かしていく。

ほぼ全編が法廷内で進行していくのだが、法廷闘争のスリリングさに人間ドラマが活写されて一瞬たりとも淀みがない。アメリカ人弁護士と岡田中将との信頼関係、岡田と家族の温かなつながり、そして敵であるアメリカ人検事とのほのかな交流…。アメリカ人キャスト3人、ロバート・レッサー、リチャード・ニール、フレッド・マックイーンにお話をうかがった。

まず岡田中将の弁護士を演じたロバート・レッサー(写真右)。
「アメリカで何千ものオーディションに参加してるが、いつも最高な気分になれるのは妻に“オーディションに合格したぞ”って報告するときだけ。それから撮影に入ってからは気分は急降下するばかりだ。理由は言わない方がいいだろうな。ところがこの作品は現場が素晴らしかった。共演者、スタッフ、みんなが一体となっててね。毎日本物の法廷のように米兵に扮した俳優が“起立!”と号令して挨拶してから始まるんだ。カメラは回ってないのにね。小泉監督のスタイルに感動したよ。さらに凄いのは飛行機がビジネスクラスだった! おまけに一流ホテルで最高の待遇をしてもらったよ! もう一つはみんなに“博士”なんて呼んでもらえたから最高の気分だった役名なんだけどね(笑)」。

冗談めかしているが、岡田を救おうと自国を敵に回しても闘おうとするフェアな精神を貫く弁護士を、静かだが熱く演じたレッサーの演技は感動を呼ぶ。

「座れよ。時間を無駄にしちゃ悪い」。

そう言って落ち着きのないフレッドを座らせてくれたのが裁判官を演じたリチャード・ニール。軽くジョークを飛ばしつつも演技に関する発言は真摯だ。
「最初に資料として渡されたのはほんの2枚ほどのあらすじだった。だがそれを読んで凄く興味がわいたんだ。リサーチしたら興味深くて、夢中で調べたよ。こんな事実があったのかって。さらに小泉監督が黒澤明監督の助監督を20年もしていたって知って、ぜひとも参加させてもらもいたいと思ったんだ」。

そして最後は検事を演じたフレッド・マックイーン(写真左)。その名と写真でお気づきだろうが名優スティーヴ・マックィーンの息子だ。歩き回ったり、ほかの俳優の応答中にツッコミを入れたり、と先行きが心配になったが、映画について予想外に深い洞察を聞かせてくれた。
「日本では第二次大戦以来、戦争に行った人はいないだろう? この映画で岡田中将が見せた部下を思う気持ち、家族への思いやり、国と文化を思う気持ち。戦争を知らない日本の人だからこそ彼の姿は大きなインパクトを与えると思うな」。

ところが一転、雑談が始まる。
「自転車を買って新宿から撮影所のある世田谷まで通ってたんだ。撮影中にも時間があるとその自転車で街を走り回っていろんな人と知り合ったよ。スタジオに戻るときは神戸屋でペストリーを山ほど買ってみんなに差し入れしたんだ。アメリカでは決して出来ない経験だよ。楽しかった(笑)」。

《text:Akira Sano》

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