ファッション小噺vol.76 キャサリン・ハイグル、悪趣味なドレスで魅力再発見

シネマカフェのコラムでもおなじみの米TVドラマ「グレイズ・アナトミー」。このドラマを機に人気者となったキャサリン・ハイグルが、主演を務めているのがこの初夏、女の子の間で大いに話題になりそうな『幸せになるための27のドレス』です。

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『幸せになるための27のドレス』 (C)- 2008 Twentieth Century Fox
『幸せになるための27のドレス』 (C)- 2008 Twentieth Century Fox 全 1 枚 拡大写真
シネマカフェのコラムでもおなじみの米TVドラマ「グレイズ・アナトミー」。このドラマを機に人気者となったキャサリン・ハイグルが、主演を務めているのがこの初夏、女の子の間で大いに話題になりそうな『幸せになるための27のドレス』です。

いま、アメリカで次世代のスターと期待されているキャサリン。“花嫁の付添い人”ばかりを務め、自分の幸せをつかみ損ねているリアルな女性を演じています。ちょっとドジで、ロマンチストで、お人好しな主人公をのびのびと体現。「グレイズ〜」ではわからなかった彼女の芸達者ぶりが垣間見えて好感度もUPです。コメディエンヌとしての才能も申し分なしなので、ポスト・ジュリア・ロバーツという声も。美しさだけを武器にしていない彼女なら、女王君臨も夢ではないのかもしれませんね。

さて今回、そんな“キャサリン・ハイグル再発見”以外に注目したいのは、『プラダを着た悪魔』のスタッフがタッグを組んでいるところ。それならば、登場するファッションに期待したくなるのは当たり前ですよね。でも、『プラダ〜』と違って、主人公の職場が環境に優しいアウトドアブランドということもあり、モード系ではなく、爽やかな等身大カジュアル。見た目には少々パンチが足りない感じもしますが、こちらの方が、より親しみやすいファッションとなっています。

でも実は、本作の核となっているファッションは、ニューヨーカーの洗練されたカジュアルではありません。見どころは、欧米での結婚式には欠かせない“ブライズメイド”が着るドレス。タイトルにある“27のドレス”とは、主人公がブライズメイドとして結婚式に出席する際に身につけた27着のドレスのこと。

ブライズメイドとは、花嫁の身内や親しい友人数人が務める付き添いのこと。もともとは、中世の頃に新婚カップルを悪霊や穢れから守るために同年代の男女を付き添わせたことがはじまりとか。男性の場合はグルームズメン、ですね。

ブライズメイドの場合、ドレスは花嫁が着るウエディングドレスに合ったものが新調されるのですが、この映画に登場するブライズメイドのドレスはといえば、何とも悪趣味なものばかり。客観的に見れば、結婚式にまつわる全てが洗練されていればいるほど、カップルの趣味の良さがわかると思いがちですが、その日の主役である花嫁にしてみれば、自分より目立つ美女がいては困るわけです。そこで、ブライズメイドを美しく見せないドレスをあえて選ぶことも珍しくはないそう。女って、コワいですね。

ブライズメイドとあまりなじみのない文化に生きる日本人としては、そのあたりの微妙な女性心理を、今回の映画を通して「なるほど」と再発見。結婚式は、お国柄や文化を色濃く反映した儀式の一つであるだけに異文化を感じられてかなり面白いのですが、そこに垣間見える女心は万国共通だったりするのが、また興味深いのです。

それにしても、あの『プラダ〜』を担当したスタッフたちが、最先端モードではなく、あえて悪趣味なドレスで勝負するというこのアンビバレントかつ、遊び心たっぷりの仕掛けはなんとも楽しいではないですか。劇中には、主人公が27のドレスを全点披露する“ファッションショー”も登場します。そのときのキャサリンの表情がなんとも嬉々としていて輝いているのも見逃せません。きっと、本心から楽しんで撮影していたんだろうなというのが伺えて、お高くとまることのないキャサリン像を確信した次第です。妙なドレスを着て魅力を発揮する女優というのもなかなか骨太でいいものですね。今後の彼女に期待、です。

《text:June Makiguchi》

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