ハル・ベリーの名演を際立たせるベニチオ・デル・トロが良い『悲しみが乾くまで』
ハル・ベリーが演じるのは、最愛の夫と2人の子供たちに囲まれ、幸せな日々を送っていたオードリー。一方、ベニチオ・デル・トロは、オードリーの夫の親友で、かつては弁護士として活躍していたものの、いまやドラッグ中毒者に身を落としたジェリーを演じている。物語はオードリーの夫にしてジェリーの親友、ブライアンが射殺されてしまうところから始まるのだが、複雑な感情を抱き合うオードリーとジェリーの関係が興味深い。オードリーはジェリーを快く思っておらず、堕落したジェリーではなく、日々を懸命に生きていた夫が悲運に見舞われたことに憤りさえ感じている。かたやジェリーも、美しいオードリーを親友の妻以上の存在として見ることはなかった。
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『しあわせな孤独』や『ある愛の風景』でも男と女、人間と人間の複雑な感情を突いて見せたスサンネ・ビアが、再び1組の男女に感情の屈折と向き合う場を提供している。突然の悲劇に見舞われた者同士、さほど特別な存在ではなかった者同士が互いに寄り添う必要に迫られたとき、冷え切った心に芽生えるものは何か?
アメリカ映画らしく“個人”を描くことに重点を置いたからか、“関係”の掘り下げ方に若干曖昧なものを感じるが、ハル・ベリーとベニチオ・デル・トロによってそこは救われている。毅然とした中に脆さと狡さを見せるハル・ベリーの名演は『チョコレート』以来。その『チョコレート』でビリー・ボブ・ソーントンが彼女を際立たせたように、ベニチオ・デル・トロがいい仕事をしている。
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