9.11に端を発するテロとの戦いを描く──無関心の恐怖を訴える『大いなる陰謀』
「単にあの戦争をテーマにしているのではなく、観客に自分たちの現状について考えさせるというアイディアに魅了された」と、ロバート・レッドフォードが7年ぶりにメガホンをとった。題材は9.11同時多発テロに端を発するテロとの戦い──アフガニスタンにおけるアメリカの対テロ戦争の裏側をあぶり出したヒューマンドラマだ。
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テロとの戦いを描いた作品というと、小難しい映画なのでは? 目を覆いたくなる戦場ばかりが目立つ映画なのでは? そんな印象を抱くかもしれない。だが、この『大いなる陰謀』がそれらと異なるのは政治家、ジャーナリスト、兵士、大学教授という異なる立場の人々の視点からひとつのテーマを捉えていること。しかも会話をメインとしている点も興味深い。
特に次期大統領候補と目されている若き政治家・アーヴィングと、40年間にわたってアメリカの政治の中枢を取材してきた大物ジャーナリストが繰り広げるインタビュー・シーンは、探り合いと化かし合い、言葉のチェイスといえる面白さを味わえる。そんな緊張感あふれる会話で観客をぐいっと引き込むのはトム・クルーズとメリル・ストリープ。トムはアーヴィング上院議員を演じるにあたって膨大な資料を読み、入念なリサーチを行い、「こんなトム、見たことがない!」と舌を巻いてしまうほどの演技を披露。新しいトム・クルーズの誕生だ。
また、レッドフォードが演じる大学教授とその教え子たちの対話が伝えるのは、「自分ならどうするのか…」立ち止まって考えることの大切さ。『大いなる陰謀』は様々な気づきを与えてくれると同時に、無関心であることの恐怖を訴えかけている。
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