「カメオ出演が難しくなってきた(笑)」シャマラン監督が『ハプニング』に込めた想い
ある朝、N.Y.で突然起こった“ハプニング”。人々は言葉を失い、方向感覚を失い、そして自ら死へと向かう。原因が分からず逃げまどう人々、混乱する都市──。『シックス・センス』、『サイン』、『ヴィレッジ』のM.ナイト・シャマラン監督の新作『ハプニング』は、想像を絶する恐怖の中に見える希望を描いたサスペンス・ムービー。これまでも独自の“シャマラン・ワールド”で観客を魅了してきた監督に話を聞いた。
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『シックス・センス』でメジャーデビューを果たして以来、一貫して“超常現象”をモチーフに作品を発表してきた。そんな監督にとって、その“超常現象”とはどんな意味を持つのだろうか。
「これまでいろんな現象を描いてきましたが、そういうものを通して僕は信じることについて描きたいと思っているんです。何かを“信じる”というと、つい宗教的な話になりがちです。でも僕はそうではないところでそういう話をしたいんです。全く知らない人のはずなのに、前に会ったことのあるようなデジャヴの感覚のように、自分では説明できないことってたくさんあると思うんです。何でも知ってるのではなく、知らない部分がいっぱいあるんです。何を信じるか、何を信じないか。自然現象や超常現象を使って“信じること”を問いかけているんです」。
「この作品を9.11以前に作っていたら、全然違う作品になっていたと思う」と語る。本作でも“信じる”ことが大きなテーマとなってるのだ。
「いまだからすぐにテロを疑うというところもあるし、とにかく他人を信用しない。いまのアメリカでは、本当に猜疑心というか、例えば、引っ越してきたら隣の人を疑うし、周りの人全て、他人は殺人鬼ではないかっていう、偏執病的な部分があります。子供を守るときにも誰の手も借りずに、むしろ、近寄るなみたいにして。世界中がこういうムードにあるときこそ、こういう映画を観て、それに気づいてほしいんです」。
インドに生まれ、幼少期にアメリカに移住した監督。そうした文化的な背景が彼の映画には大きく影響している。
「これはものすごく関係していると思います。映画のプロモーションで各国を回りますと、文化的な反応の違いを感じられて、とても面白いですよね。例えばドイツ人は映画を細かく分析するし、メキシコやスペインのみなさんは、シュールな世界やファンタジーの部分にすごく反応します。フランス人は宗教の話を嫌うとか…(笑)。僕自身インドで生まれて、アメリカで育ちました。その両方の文化が身に付いているんです。まるで正反対なんですけどね。インドでは儀式みたいなものがたくさんあって、例えば岩の上に灰を乗せて、それを神に見立てたり、水がすごく意義を持っているとか、輪廻ももちろん信じていますし、幽霊とか霊も存在すると信じていますよね。そういうところはすごく影響していると思います」。
ところで、シャマラン監督と言えばカメオ出演。今回はどうやら電話の声だけのようだ。
「脚本を書いているときに自分がやれるかなと思った役が一つあったんですけど、変なヤツになっていったのでやめました(笑)。実はだんだん難しくなってきているんです。僕がカメオをやることが有名になってしまって、それを観る人が探そうとしたり、僕が変なところで出たら、そこばかり観てストーリーを忘れちゃったり(笑)。そういうマイナス面があるんですよね。それに僕の独特の風貌も、“あの30代のインド人は何?”ってなって、そっちに気を取られてしまうので、なかなか僕をキャスティングする場所がないんですよ。コンピュータ・オタクとかクラブのオーナーとか、そういう役だったらすんなりはまるのにね(笑)」。
《シネマカフェ編集部》
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