秋、しっとり香る女の色気vol.1 しっとりがじっとりへ。女の変化を楽しむ
9月になって日差しもやや弱まり、少しずつ秋の気配も感じ始めた今日この頃。“秋”を意識し始めると、不思議にも女性たちはしっとりとした気分になるものです。気候とは、気分を大きく左右するものですよね。
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そんな秋には、しっとりと香る女の色気を映画から感じてみてはいかがでしょう。私のイチオシは、楳図かずお原作の同名漫画を映画化した『おろち』(9月20日公開)。楳図作品と言えば恐怖を描いたものが多いので、「夏じゃないの?」と思うかもしれませんが、この『おろち』は、とびきりお洒落なファッションや、アート性の高い美術など、芸術の秋にぴったりな要素がいっぱい。しかも、女のしっとりとした色気に、観ていてなんだかゾクゾクさせられるのです。出演は、木村佳乃と中越典子、そして谷村美月。29歳を過ぎるとその美貌が崩れてしまう奇病にかかった美人姉妹と、永遠の命を持つ謎の少女・おろちの物語です。人間心理の闇を暴き出す楳図作品らしい恐怖ワールドが、じわじわと展開していくのです。
そんな映画のどこに色気があるかというと、ずばり“女の欲と嫉妬”。先日、色気ある女を描くことに定評のある舞台演出家を訪ねたところ、「私にとって、色気のある女性とは、欲深い女性である」と言われて妙に納得したばかり。相手の心が離れた末にふられたのに、「何で私じゃダメなの」と客観性ゼロになっている=主観性100%の状態は、特に女っぽいのだとか。確かに、こういうセリフって、男性よりも女性の方が乱用しそうですからね。欲も嫉妬心も感じさせずさっぱりしている女性は、男っぽいと言われたりするものですが、そういう人はフェロモン系とは呼ばれません。フェロモン系に共通するのは、突きつめれば“欲と嫉妬”を直球で感じさせるところにあるのかもしれません。
『おろち』に登場する美人姉妹も、最初は優雅にしっとりした色気を見せるにとどまっていますが、後に色気の源である“欲と嫉妬”の部分をじっとりと搾り出してくれます。その変遷は見もの。彼女たちが展開する肉体的&心理的バトルは、主観性100%のぶつかり合いなのです。女の欲そのものが形となって表れたような姉妹を演じた木村佳乃と中越典子、かなり面白くて好きだなあ。原作漫画もおすすめです!
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