本郷奏多、阿部寛の現場での心遣いに尊敬のまなざしも、面白い一面は見られずに残念!
直木賞作家・重松清の連作短編集の一編を映画化した『青い鳥』。吃音の臨時教師といじめによる自殺者を出したクラスの生徒たちの交流を丁寧に描き出した本作が11月29日(土)に公開を迎えた。公開劇場のシネ・リーブル池袋では、初回上映後に主演の阿部寛を始め、本郷奏多、伊藤歩、太賀、荒井萌、篠原愛実、山崎和也、新木優子、そして中西健二監督による舞台挨拶が行われた。
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会場からの「村内先生!」という呼びかけに応えて登場した阿部さん。村内先生を演じての感想を尋ねると「先生のセリフのひとつひとつが、44歳の僕の心に響いてきました。これまでに、口数は多いけどなかなか思いが伝わらない、という役柄はありましたが(笑)、村内先生は逆に言葉が少ない分、すごくよく伝わるんです。最初の内は、すごくゆっくりと間をとって演じていました。それで生徒たちの反応を見てみたら『なげぇよ! これじゃおれたちの気持ちが繋がらないよ』という表情になってまして(笑)。その後、監督と話し合い、修正しながら役を作っていきました」と語った。この日は、生徒たちと久々の再会となったが「みんな大きくなってますね。この時期は本当に成長が早いので、いろんなものを吸収していい役者になってほしいです」とエールを贈った。
生徒役の俳優陣は、多くの観客を前に少し緊張している様子。井上武志役の太賀さんは「井上は自分と似ているところもたくさんありました。でも、置かれている状況の違いもあり、『もし自分だったら?』などと考えてもなかなか答えが出ないんです。その答えの出ない感じが井上なんだなと思いました」と演じてみてのの思いを口にした。
高木沙英に扮した篠原さんは、初めて村内先生がやって来たシーンについて「この先生が何をするつもりなのか分からない、という不安や戸惑いを表現できればと考えていました」と語った。また、学級委員の早川由香を演じた荒井さんは、印象的な場面として、男子の喧嘩の場面を挙げ「本当にすごい迫力で、女の子の一人が泣き出してしまうくらいでした」と明かした。
片山舞役の新木さんは「もし村内先生が実際に担任だったら?」という質問に「私は毎年、面白い先生が担任になることが多いんです。村内先生のような優しさを心のどこかに秘めている先生が担任になったら、毎日学校に来るのが楽しみになると思います」と笑顔で語った。
いじめを苦に自殺した野口哲也に扮した山崎さんは「実際の撮影では、本郷さん以外の生徒たちと会う機会がなかったんです。だから、打ち上げで初めて顔を合わせて『ああ、この人たちが僕をいじめていたのか…』と思いました」と苦笑を浮かべた。
本郷さんが演じたのは、野口の死に責任を感じている生徒・園部真一。心に陰を持つ難しい役どころだったが「共演者のみなさんが、カメラが回ってなくても、劇中と同じ空気を作ってくださいました。特に阿部さんは、撮影中以外はあえて生徒たちと距離を取ってくださったりして、いい意味で現場に緊張感があってやりやすかったです」と語った。一方で「メイクさんたちから、阿部さんは実際はすごく面白い方だと聞いたんですが、今回はそういう部分が見れなかったんですよ…」と少し残念そうな表情も。
島崎先生役の伊藤さんは「自分が中学のときは、周りに目立った形でいじめなどはなかったのですが、今回演じる上で『先生たちはあの頃、私たちをどういう目線で見ていたんだろう?』ということをすごく考えました」とふり返った。
本作で監督デビューを果たした中西監督は、観客に向けて「この映画は、決して明確な結論やいじめに対する特効薬を授けるものではありませんが、観て感じた“思い”を大切にしてほしいです。それはきっと他人の持つ“思い”、他者に対する想像力へと繋がっていくはずです」と訴えた。
『青い鳥』は新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国にて公開中。
《シネマカフェ編集部》
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