元気になれる動物映画vol.1 絶対行きたい! 逆境に打ち勝った日本最北の動物園
2009年が明けました! ご挨拶が遅れましたが、今年も何卒よろしくお願いいたします。さて、お正月休み、素敵な映画と出会いましたか? 今年も、勢いの良い邦画はもちろん各国から届いた多くの映画が公開されます。100年に一度とも言われる大不況ではありますが、こんなときこそ映画からパワーをもらいたいもの。今年最初にご紹介するのは、まさに元気をもらえる作品です。
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今月のテーマは、2009年に続々公開される動物映画。どんなに元気がなくっても、動物たちのキュートな姿を見ていると、なんだか心がほかほかしてきて、思わず笑みがこぼれるというもの。しかも、併せて描かれているのが、大きな逆境を乗り越えた人々の話とくれば、百人力。映画の名は『旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ』。そう、北海道の旭川市にある日本最北の動物園にして、年間300万人の入場者を集める観光スポットです。ご存知の通り、大きな赤字を抱え、廃園の危機に直面しながらも、動物本来の行動や能力を見せる独自の展示方法“行動展示”を世界で初めて生み出したことで、日本のみならず、世界で注目を集めることになり、見事復活した国民的動物園です。
映画では、財政赤字を抱え、旭川市から邪魔者扱いされながらも、独創的で画期的な“行動展示”を編み出した飼育員たちの奮闘とともに、再生へのパワーの源となった飼育員たちが抱える動物への深い愛情、動物との真摯な関わりを丁寧な人物&動物描写で描いていきます。(しかも、全て実話がベースというから、さらに興味深い!)
おかしいのは、園長や飼育員をはじめ、登場人物に扮しているキャストたちが、どことなく何かの動物に似ていること。行動展示特有の設備により、観察者であるはずの人間と、非観察者であるはずの動物たちの立場が、ときおり入れ替わっているように感じられるのもユニーク。人間も動物も、地球の仲間なのだなという当たり前のことが、いま一度実感できる作品でした。
印象的だったのは、廃園に追い込まれそうな危機的状況の中で、自らの失業を心配するよりも、動物たちの行き先を心配する飼育員の姿。行き先の決まらなかった動物たちには安楽死が待っているというのです。人間は、自分の手で仕事や住むところを探す努力はできますが、動物たちは人間にその運命を任せるしかありません。残酷な決定を下されても、言い訳する余地すらないのです。そんな動物たちのために、必死で再生への道を探った旭山動物園。ずっと行きたいと思いつつ、実現できていませんでしたが、この映画を観ていて、今年こそ絶対に訪ねるぞ、と心に強く誓いました。
不屈の精神、逆境への最大の武器はマンパワーであることなど、不況の折だからこそ学びたいことがいろいろ詰まった作品ですが、それより何より、登場する動物たちの映像がいい。「せっかく映画を観るんだから、難しいことはさて置きたい」という方も、活き活きとした彼らの姿にきっと満足できるはず。筋金入りの動物好きである私が自信を持って太鼓判を押させていただく、極上の動物映画ですよ。
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