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美しい旋律にあの人と酔うvol.2 自己の目覚めにつながる愛『オーストラリア』

雄大な自然と、独自の風土が生きるオセアニアの大国オーストラリア。日本の約20倍の国土に、多種多様の固有種を抱く雄大な自然を誇ります。昨年末、仕事で初めて行ったのですが、自然の恵みをたっぷり受けた食材(もちろん、ワインも!)や、美しい景観、陽気な人々、独自のアボリジニ文化など、魅力的な要素がいっぱいで、すっかり魅了されました。

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『オーストラリア』 -(C) 2008 TWENTIETH CENTURY FOX
『オーストラリア』 -(C) 2008 TWENTIETH CENTURY FOX 全 3 枚
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雄大な自然と、独自の風土が生きるオセアニアの大国オーストラリア。日本の約20倍の国土に、多種多様の固有種を抱く雄大な自然を誇ります。昨年末、仕事で初めて行ったのですが、自然の恵みをたっぷり受けた食材(もちろん、ワインも!)や、美しい景観、陽気な人々、独自のアボリジニ文化など、魅力的な要素がいっぱいで、すっかり魅了されました。

そんなオーストラリアの魅力をたっぷり凝縮させたのが、バズ・ラーマン監督の新作、その名もずばり『オーストラリア』。第二次世界大戦前夜のこの国を舞台に、その歴史と文化を形作った個性を存分に表現した大作です。と言うと、かなり堅苦しいのですが、ベースにあるのは愛のドラマ。イギリスの貴婦人が、野生的なカウボーイとの出会いを通じ情熱的な愛を経験するとともに、アボリジニの血を引く少年との出会いを通じて母性を開花させていくというお話が軸になっています。

最近では、ハリウッドにも親しみやすい庶民派女優が誕生していますが、やはりこれほどの大作になると、恋する二人は正統派の美男美女でなくては興ざめ。その点、ニコール・キッドマンとヒュー・ジャックマンなら、観ている方もうっとりするほどの決まりぶり。冒頭からニコールの人造人間風な美しさが、大自然の中で違和感を放っているものの、愛への目覚めによって、物質への執着を捨て、大地に根を下ろしていく女の変化は、観ていて感動的なのです。

誰にでも、「好きな人に、もっと好きになってもらいたい」と、自分を変えようとした経験はあるはず。彼の好みの髪型にしたり、彼女好みの服を着たり。でも、この映画で主人公が経験する変化は、誰かに好かれようとか、誰かの好みに合わせようとか、そういった理由で起きたものではありません。愛する者に寄り添うために、また、寄り添っているうちに自らの中で当然のように起こった変化。実はこのふたつ、似ているようで大きな違いがあるのです。

誰かを意識して自分に変化を強いるのは、自分がそれを望んでいるように見えたとしても、表出しているのが本当の自分ではない場合があります。変化の先に、誰かの好意を期待すれば、相手が変わり好みが変わるたびに、また自分を変えなくてはなりません。“彼のために変わる自分”が好きなら、それも楽しいのでしょうけれど、そんなこと、いつまでも続けていられませんよね。

反対に、相手との関係性の中で、自然に自分が変わっていく場合、相手は自分が変化する目的ではなく、新しい自分発見の引き金になっているのです。その場合に起きるのは、変化というよりもむしろ、“目覚め”という感じ。本来の自分に気づき、あくまでも自然な自分に戻る。そして、自分中心だった人生が、誰かのために生きる人生に変わっていく。『オーストラリア』で描かれているのは、そんな愛なのです。

変化を強要されるのは論外ですが、好かれるために変わるのではなく、好きになったから自分が目覚めた。そんな愛を見つける素晴らしさに、恋人同士でぜひ触れてみてください。バレンタインデーでの、みなさまの成功をお祈りしつつ。

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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