美しい旋律にあの人と酔うvol.3 五割増しの恋をしよう!『カフーを待ちわびて』
先日、某有名脳科学者のM先生に取材してきました。いろいろと面白い脳の話を伺ったのですが(詳しくは、東京メトロの各駅で配布している「アーバンライフ・メトロ」4月1日発行号にて。沿線に暮らす方限定情報でごめんなさい)、ひとつ今回のお題「LOVE」にぴったりなものがありました。それは、恋をしているときの人間の脳の状態について。人の脳って、好きな人を見ているときは、その人の欠点を見ない状態になっているのだそうです。「恋は盲目って言いますけれど、その通りなんですよ(あっはっはー)」と先生。なるほど。私はもうひとつ、「あばたもえくぼ」なんていう言葉を思い出しましたけどね。
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さて、本題。今回ご紹介するのは、日本ラブストーリー大賞作品に輝いた原作を映画化した『カフーを待ちわびて』。沖縄の離島で小さな雑貨店を営みながら、愛犬カフーと静かに暮らす青年と、そこに突然訪れた不思議な女性との優しい愛の物語です。青年は、幼い頃に母親が自分の元を去ったこと、手に残る大きな火傷などが原因なのか、かなり内気。変化を受け入れられず、島の外へ出ることもあまりないため、いまも独身。内地へ行った友人からは、「勇気がない」と強く言われたりするのです。彼が観光に訪れたある神社で、絵馬に「嫁に来ないか。大切にします」と誰宛てともつかないメッセージを書いたことで、その絵馬を見たヒロインの幸が島にやってきます。青年の前に現われた幸は、「今日からお世話になります」と挨拶。家に住みついてしまいます。
主人公を演じるのは玉山鉄二。ヒロインは資生堂のCMに出演中のマイコ…って、ちょっと待って! 玉山鉄二ばりの二枚目が、いくら内気だからといえ、離島で寂しく暮らしているものなのか!! 本編が始まるとすぐに、彼は人々が放っておくにはあまりにいい男すぎるのではないかという疑問が噴出。さらに、ふっと現われたのが、人がふり返るような可憐な乙女。偶然出会うにしては、あまりにも出来すぎた美しきカップルなのです。
そこで、私が思いついたのが、最初の話。恋をすると人は欠点を見ないのだという現実です。出会い方は不思議だったにしろ、とにかく島で一緒に暮らし始めた二人。青年は孤独で、この二十数年、女性とまともに付き合ったことはない様子。女性は、都会の波にもまれて、かなり疲れ気味。沖縄の美しい自然を背景にすれば、互いに心を許し、恋に落ちるのも時間の問題です。とすると、恋する二人が互いに見つめ合うのは、欠点を無視した現実よりも二割、三割、いえ、五割増しとなった相手の姿という可能性も。だからこそ、夢のような恋の世界が展開できるというものなのかもしれません。
確かに、映画というのは夢の世界を描くもの。いくら共感できる何かを見つけたくても、あまりに身近すぎる平凡な男女が主人公では、観る側も映画の世界に浸ることなどできませんからね。ですからこの物語を観るときは、出来すぎた作り事と考えて、はなから虚の世界なのだと見るのではなく、ちょっとした割り増しが行われているけれど現実にだってあり得る話だと考えてみては? きっと、うっとり具合にも違いが出るはず。だって、あなたにもこんなことが起きるかもしれないのですから。現に、自分は恋愛ドラマの主人公のようだと思った経験ぐらい、誰にでもあるのでは? そんな時は、きっと相手のことがジョニデやプラピ以上に素敵に見えたことだってあるはず(なかったら、残念!)。そう、何割増しかで恋するのも悪くない。というよりもむしろ脳科学の理論でいくと、割り増しされている恋ほど、強烈な恋と呼べるのかもしれませんね。
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