『ジェネラル・ルージュの凱旋』中村義洋監督が語る“切り札”堺雅人のスゴイところ!
大人気医療ミステリーの映画化として大きな話題を呼んだ『チーム・バチスタの栄光』。その続編として、竹内結子&阿部寛のおなじみのコンビに新たなキャストを加えて贈る『ジェネラル・ルージュの凱旋』が先日より公開され、原作ファンをも唸らせる高い完成度で話題を呼んでいる。前作に続いてメガホンを握った中村義洋監督に話を聞いた。
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ファンの間でも“シリーズ最高傑作”との呼び声の高い原作小説において、物語の鍵を握る人物であり、高い人気を誇る医師・速水に扮するのは、人気絶頂の堺雅人。監督は『ジャージの二人』で堺さんと一緒に仕事をしており、その演技力を絶賛するが、一方で本作での起用については当初、ためらいもあったという。
「実は、堺さんの起用は僕の方からではなく、脚本が固まる前の時点でプロデューサーから出てきた話だったんです。堺雅人は僕にとって“切り札”とも言える大切な存在。彼は、脚本をしっかりと読み込んで役を作り上げていく俳優です。救命医療の現場について取材をする前の段階だったこともあり、『ここで堺雅人を出すのか?』という思いもありましたし、この段階で彼が出演を了承するとも思っていなかった。でも彼からOKが出て、医療の現場を取材していくうちに脚本がどんどん面白くなっていったんです。『ジャージの二人』とは全く違う性格の人物というところも面白いな、と思っていました」。
実際の現場における阿部さん、竹内さんのコンビと堺さんの融合を監督は“化学変化”と表現、目を輝かせながらこうふり返る。
「堺さんは、相手の出方によって自分が作ってきたものをうまく崩しながら空気を作っていくタイプ。一方で阿部さんは、相手の年齢や性別が変わっても、自分の芝居を変えず、全くブレがない。白鳥という役もまさにそういうタイプですよね。2人のアプローチが違うからこそ面白い(笑)。また、竹内さんがそこに入っていくんですが、これがまた、べらぼうに上手いんですよ! はたから見ていて楽しかったです」。
映画では、原作以上に救急医療の現状について、様々なエピソードが語られる。これは、先にも述べた実際の医療現場への取材を通じて、監督が感じたことを脚本に反映させた結果だという。
「取材のために埼玉医大(埼玉医科大学)を訪れたんですが、ここで話を伺って脚本がガラリと変わりましたね。5時間くらいの取材で僕らの医療に対する考え方も変わりました。今回の『ジェネラル・ルージュ』という企画抜きでも1本別の映画ができるくらい内容が濃かったです」。
前作『チーム・バチスタ』を含め、これまで映像化不可能と言われてきた小説を次々と映像化してきた中村監督。監督にとって小説の映像化とはどのような作業なのか? そしてその成功の秘訣とは?
「まず、原作が何を描いているのかということをじっくりと見極めること。それが見えてきてそこにしっかりと“乗る”ことが大切なんです。僕がこれまで映像化させていただいた作品の作家の方々はみなさん、それぞれの“土俵”というものを理解されている。互いの土俵で最高の仕事をしよう、というスタンスなんです。『(原作を)こう変えたのか!』と驚かせたいという気持ちもありますが、彼らに対してはそれが堂々とできるんですよ」。
医師不足に患者のたらい回し、かかりつけ医の必要性などなど、インタビューを通して監督の口からは、医療が抱える様々な問題が語られ、並々ならぬ思いが伝わってきた。「この映画で全てを言い切れたわけではないので、ぜひまたやりたいですね」とも。折りしも「白鳥・田口」シリーズは最新刊「イノセント・ゲリラの祝祭」が少し前に刊行されたばかり。続編への期待も高まるが、まずは最新作『ジェネラル・ルージュの凱旋』をエンターテイメントとして楽しむと同時に、監督の熱い思いを受け止めてほしい。
《シネマカフェ編集部》
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