ガス・ヴァン・サントが語る『ミルク』「生きてたら大統領に立候補したかもしれない」
アメリカで初めて、同性愛者であることを公言して公職に就き、その後、かつての同僚が放った凶弾に倒れたハーヴィー・ミルク。彼の最後の8年間を切り取り、見事ショーン・ペンに二度目のオスカーをもたらした『ミルク』がまもなく公開となる。監督を務めたのは『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』など登場人物たちの内面に向き合い、人間ドラマを丁寧に紡ぎ出す名手、ガス・ヴァン・サント。本作について話を聞いた。
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監督がミルクのことを耳にしたのは1990年代初頭のこと。それから巡り巡って、当初はオリヴァー・ストーンが計画していたというこの作品を自らの手で手がけることになった。ミルクの人生を描くことについて監督はこう語る。
「ハーヴィーは傑出したゲイの活動家であり、しかも職務中に亡くなったことでゲイの世界でいわば“聖人”としての資格を得たと言える。この映画を作ったのは、彼の時代を知らない若い世代の人々に彼のことを覚えていてほしい、彼のことを知ってほしいという気持ちからだ」。
こうした題材を扱った映画を製作することに不安やためらいはなかったか? と尋ねると、監督はすぐさま「いや、そうした不安を感じたことは決してなかったよ」と力強く答えた。
「これは大事な映画なんだ。人々がハーヴィー・ミルクの物語をもう忘れてしまっているからね。これは、国際的に有名なゲイの地区・カストロ(ハーヴィーたちが暮らした地域)の誕生の物語であり、ホモセクシュアルであることを犯罪であるということから脱却させた最初の10年の物語だ。1969年以前は、ダンスフロアで男同士でダンスしただけで刑務所に入れられてしまうような状況だったんだ。だからこそ、この映画は重要なんだ」。
撮影が、ハーヴィーが実際に活動を行ったサンフランシスコで行われたことの意義についてもこう語る。
「僕はもちろん、ショーン・ペンもサンフランシスコでの撮影を主張し、実現させたんだ。それが出来なければ、彼はこの作品に参加していなかっただろうね。ほかの場所よりも経費がかかるということもあって、サンフランシスコは撮影に適さないという風潮があったけど、僕らはそれを実現させたし、実際、それは素晴らしい経験だったよ」。
黒人の大統領の誕生に代表されるように、ハーヴィーが活動していた頃と比べ、大きな変化を遂げたアメリカ。監督にハーヴィーの存在とその死がもたらした衝撃の大きさについて改めて尋ねた。
「ハーヴィーの死は、彼の仕事への理解を深めさせた。彼という存在はずっと続いてきて、より大きなものになっているんだ。生きていれば、彼は知事になっていただろうし、大統領にだって立候補したかもしれない。いまなら、より多くの政治家と共に一緒にそうした仕事が出来ただろうね」。
オスカー受賞の演説で、ショーン・ペンが同性愛者の婚姻の合法化を強く訴えた。ハーヴィーの死から30年を経たいまでも、彼が求めた理想への道は、いまだ半ばかもしれない。だが、彼という存在があったからこそ、いまのこの道があるのだということを、映画は我々の心に強く訴えかける。
第81回アカデミー賞特集
http://www.cinemacafe.net/fes/academy2009/
《シネマカフェ編集部》
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