誰しもが抱える“嘘”から見る人間の“揺れ” 西川美和最新作『ディア・ドクター』
人は多かれ少なかれ嘘をついて生きている──。数々の映画賞を総なめにした『ゆれる』('06)に続いて西川美和監督が描くのは、そんな誰もが生きていく上でひとつは抱えている“嘘”をテーマにした人間ドラマ。ある小さな村で起きた医師の失踪事件から物語は始まり、彼の素性が徐々に浮かび上がっていく。真実と嘘、善と悪、生と死の間で揺れ動く人々の心情がリアルに映し出されるが、結末に用意されているのは否定でも肯定でもない何ともあやふやなものだ。しかしながら、何故かほっとさせられるのは私たち自身があやふやな存在だからゆえ。境界線がないからこそ、白黒はっきりしない余韻が心地よく感じられる。
最新ニュース
コラム
-
「思ったよりお似合い」イ・ジョンソクとムン・ガヨン、香港での目撃談が話題!
-
映画館大賞『グラン・トリノ』に栄冠! 中谷美紀が選ぶ1本は『アンヴィル!』
-
「短くて面白い」が選ばれる新時代――新たな配信サービスの挑戦

そして、原作・脚本・監督の全てを手がける西川美和が本作の主役に選んだのは、その名前と顔を知らない日本人はいない男・笑福亭鶴瓶。芸歴37年目にして主役を張り、致命的な秘密を抱えながらも僻村の唯一の医師として人々に慕われる伊野を演じている。さらに、彼のもとに転がり込む研修医の相馬役の瑛太をはじめ、八千草薫、余貴美子、香川照之といった日本映画界屈指の実力派たちが顔を揃えているのも見どころ。
ハリウッド超大作のように派手な映像も仕掛けもないが、現代に生きる人々の心の処方箋になりうる作品であることは確か。主人公の心の揺れを感じることで、自分自身の中にある揺れを受け入れられる…小さな感動を与えてくれる本作のような映画こそが悩める現代人にとって必要な映画と言える。また、原作ありきの映画が当たり前の昨今、これだけ興味深いオリジナル・ストーリーを観ないなんて損!
特集
関連記事
-
映画館大賞『グラン・トリノ』に栄冠! 中谷美紀が選ぶ1本は『アンヴィル!』
最新ニュース -
国内賞レースも本格化 『ヴィヨンの妻』『沈まぬ太陽』など日本アカデミー賞最多受賞
最新ニュース -
助演男優賞の瑛太に阿部サダヲ「いいな」、鶴瓶「この辱めを…」 報知映画賞授賞式
最新ニュース -
報知映画賞『沈まぬ太陽』に栄冠! 渡辺謙、瑛太、松たか子、岡田将生ら受賞
最新ニュース -
明日開幕東京フィルメックス 「ツイてる」西川美和監督トークイベント満員
最新ニュース -
松たか子×浅野忠信『ヴィヨンの妻』がモントリオール出品で、太宰イヤーを飾る!
最新ニュース -
「本物の方が怖いかも(笑)」『ディア・ドクター』西川美和が描く、愛すべきニセモノ
最新ニュース -
瑛太、鶴瓶と過ごしたひと夏の思い出にニンマリ 「本当にずーっと一緒にいました」
最新ニュース -
鶴瓶&瑛太が深酒で倒れた? 余貴美子も病院送りの恐るべき『ディア・ドクター』
最新ニュース -
西川美和監督最新作『ディア・ドクター』で鶴瓶が世界デビュー! いざモントリオールへ
最新ニュース
この記事の写真
/