松本人志監督に直撃! あの水玉パジャマ男の正体は… 「主演? 渋々ですよ」
その世界観を理解しようとすると理解できない、裏があるようでない、つかめそうでつかめない、そして気がつくと彼の世界観に入り込んでしまっている──。松本人志という人物は、自然と人を惹き付ける力を持った、独創的で野心的な表現者だ。第60回カンヌ国際映画祭・監督週間に招待され、映画監督として衝撃デビューを果たした初監督作『大日本人』から2年。2作目となる『しんぼる』でもその唯一無二の世界観を描いている。今回、彼が選んだ題材とは一体何だったのか?
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「オリジナリティだけは誰にも負けたくない」
「無声喜劇と言うんですかね。『大日本人』を撮ったときに、映画は海を渡るんやなというのを実感して、日本人だけにしか伝わらないものを意識しても仕方ないと思ったんです。セリフを喋ってしまうとそれを字幕に起こしたとき、自分の意図したことがちゃんと(外国人に)伝わっているんだろうか…? というジレンマみたいなものが生まれて、ストレスになる。だから、喋らなければそれは気にしなくていいよなと。今回、主人公のセリフがない一番の理由はそれですね」と、制作意図を語る。だが、無声喜劇、密室劇という簡単な言葉ではもちろん彼の世界を説明することは不可能。主人公が何処かに“閉じ込められる”という設定のサスペンス劇は珍しくはないが、室内編と海外編の2つの世界がパラレルに絡み合っていく展開はやはりユニークだ。
「ボタンだらけ、スイッチだらけの部屋っていうのが最初に浮かんできたんです。でも、それは異空間じゃないと成り立たないよなと。人と同じことをやっても仕方ないし、常日頃からオリジナリティだけは誰にも負けたくないと思ってやってきたので…。とはいっても、僕はあんまり映画を観ない方。いつも周りの人に“こんなん観たことある?”って聞くようにしています。まあ、今回は聞くまでもないかなと。だって、こんなにアレがいっぱい出ている映画はほかにないでしょ(笑)」。
後悔しない日はなかった“キツイ仕事”
おかっぱ頭で奇妙な水玉模様のパジャマを着た男が、四方を白い壁に囲まれた部屋で目を覚ますところから物語は始まる。演じるのはもちろん松本人志、本人だ。前作でも主演を兼ねていたが、そのとき以上に大変だったと本気で苦笑いする。その理由は?
「僕がこの仕事をいつまでやるのか分からないけれど、今回の仕事は(人生を振り返ったときに)かなり最初の方に浮かぶであろう“キツい仕事”のひとつですね。後悔しない日はなかった。自分で決めて自分で出て、っていうのは本当に難しくて。OKなんやけど、監督としてOKだと思うからOKを出しているのか、自分がしんどくてOKにしているのか分からなくなってくるんですよ。そのせめぎ合いが大変でね。最初は誰かにやってもらおうと思って外国人を捜していたんです。でも、この空気感、この感じを現場で演出するのは難しいだろうなとも思っていて。で、会議をしているときに、僕はずっと『閉じ込められた男が…』っていう表現をしていたのに、周りの人間がいつの間にか『松本が…』って言いだして、そのうち自分でも『俺が…』って言ってしまった。渋々ですよ」。主人公の男が「この部屋から早く抜け出したい」と苛立つ心境=監督の心境。だからこそダイレクトに感情が観客に伝わり、正直イラッとさせられる。だが、悔しいけれど、それも監督の計算しつくされた仕掛けなわけで、気が付くと松本人志ワールドにどっぷりと浸かっているというわけだ。
自分の頭のなかで渦巻くアイディアを確実にアウトプットするために企画・監督・脚本・主演する。松本人志はかなりの完璧主義者と言えるだろう。しかし、意外にもテーマは設けていないというから驚きだ。
「もともとテーマは設けないようにするたちで、なるようになるかなぁという感じですね。楽しくなればいいかなと。今後も主演するかですか? 次作があるかどうかもまだ分からないけれど、自分は演出能力が高いとは思っていないので、やっぱり名前のある俳優さんとやるのはしんどいかなって気はします。まあ、メル・ギブソンが“俺がやりたい!”って言ったら考えますけどね(笑)」。
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