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ファッション小噺vol.122 ブルーがとってもキュート『(500)日のサマー』

ボーイ・ミーツ・ガールの物語。でも、恋愛物語ではありません。そんな触れ込みの映画『(500)日のサマー』。愛を探し続けているうちに、真実の愛なんて信じない女の子に運命を感じてしまった男の子・トムの500日を描いた物語です。女の子の名前はサマー。映画を観てすぐに感じたのが、「この映画、妙に可愛いな」という感想だったのだけれど、その最大の理由はサマーでした。

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『(500)日のサマー』 - (C) 2009 TWENTIETH CENTURY FOX
『(500)日のサマー』 - (C) 2009 TWENTIETH CENTURY FOX 全 8 枚
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ボーイ・ミーツ・ガールの物語。でも、恋愛物語ではありません。そんな触れ込みの映画『(500)日のサマー』。愛を探し続けているうちに、真実の愛なんて信じない女の子に運命を感じてしまった男の子・トムの500日を描いた物語です。女の子の名前はサマー。映画を観てすぐに感じたのが、「この映画、妙に可愛いな」という感想だったのだけれど、その最大の理由はサマーでした。

ホップな映像センス、雑然としているけれどリアルにスタイリッシュな二人の部屋、日本でもお馴染みのIKEAでのデートなど、雑貨好きの女子・男子が喜びそうなシーンがいっぱい。それも“可愛い”という印象の源なのですが、何といっても楽しいのは、くるくると変わるサマーのファッション。夏のL.A.を舞台にしているものの、いまどきのL.A.カジュアルとはかなり違って、ちょっとレトロで露出度控えめのスタイルが、とっても新鮮なのです。

サマーのファッションで注目なのが、彼女がかなり高い確率で“something blue”を身につけていること。白いブラウスにスカイブルーのカチューシャだったり、藍色っぽいアーガイルセーターを羽織ったスクールガール風のファッションの際には、ポニーテイルに濃紺のリボンを合わせていたり、ダンガリー素材のシャツやノンウォッシュのボトムスを好んで着ていたり。ワンピースを着ているときは、たいてい色は薄いブルー。コピー室での初めてのキスは、コットンとレースが爽やかな水色のワンピース姿だし、IKEAデートでは、紗の夏着物を思わせる涼しげなシースルーのサマードレス。知人の結婚式ではレトロな60年代風シルエットが優しいペイルブルーのオーガンジードレス。ホームパーティでは、大きな青い花柄が印象的なホルターネックのコットンワンピース。サマーという名前に相応しく、彼女のファッションはまさに涼やかな夏色なのです。

“季節に合った色のアイテムをワンシーズン身につけ続ける”というテーマを持って、ファッションを楽しむのも面白いかもと思ったのは映画を観終わったとき。リボンやアクセサリーなども含めれば、できそうな気がしてきませんか?

さて、サマーのファッションの可愛さは、色のこだわりだけでありません。いずれも、シルエットやディテール、素材などにクラシカルな味わいがあって、慎ましい。なぜ懐かしく感じるのかなと思っていたら、子供の頃、母が同じようなテイストの服を着せてくれていたからでした。サマーの好むアイテムには、セクシーさよりもむしろ少女っぽさが漂っています。パフスリーブや、リボンやレース。ウエストできゅっとリボンを結ぶふんわりスカートのワンピースなど、女性なら一度は少女時代に身につけた記憶がるのではないでしょうか。

サマーはちょっとエキセントリックなのですが、子供らしいキュートさもありながら、小悪魔的でもある手強い女性。ここで、露出度の高い、ピタピタのL.A.ファッションに身を包んでいたら、きっと小悪魔というより悪女的な印象になっていたはず。この映画を「キュート!」と思えるのも、サマーが正しくヴィジュアル化されているおかげ。監督、お見事といった感じです。

さて、サマーを演じているズーイー・デシャネルは、これまで、“ヒロインのちょっと変わった女友達”という役どころが印象的だったのだけれど、今回の“ちょっと変わったヒロイン役”ですっかり人気者になりました。もともと、個性的なファッションで注目を集めている彼女でしたから、この映画を機にファッション・アイコンの地位をより確実なものにしたことでしょう。

可愛い映画ではあるものの、物語の方は決して甘いだけでなく、恋愛のビターな部分もしっかり描かれているのですが、ファッションだけはイノセントなムード(お相手のトム=主人公は、いつもスクールボーイっぽいファッションだし)。サマーとはキャラも年齢も違うので、イノセントなファッションは無理だけれど、“色テーマを設定する”というのなら、楽しく真似できそうという方もいるのでは? 私、まずは、2010年の冬のテーマカラーから決めてみましょうか…と思ったけれど、やっぱり来年の冬も、定番の黒になってしまいそう。。。

text:(June Makiguchi

特集『(500)日のサマー』
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《シネマカフェ編集部》

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