【シネマモード】恋する女心を解く鍵は衣裳にあり? 『サヨナライツカ』を彩るのは…
中山美穂12年ぶりの映画主演、しかも原作は夫の辻仁成ということでも話題の映画『サヨナライツカ』。数年前に、一度映画化の話がありましたが実現せず。当時作品を読んだ際は、「思いきりロマンティックな話だな」と思った私ですが、いま映画として観てみると、「思いきり男目線(男都合)な話だな」と、ちょっと冷めた感情を抱いた私。これが、“年を経て、いろいろ見えてくるようになる”ということなのでしょうか。映画のタッチは、少し韓流ドラマ的。それもそのはず、監督は韓国映画『私の頭の中の消しゴム』のイ・ジェハンなのですから、韓流ドラマ好きにはたまらないのではないでしょうか。
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そんな話題作『サヨナライツカ』で、私が最も興味を惹かれたものといえば、ロケ地と衣裳。まずは、なんとも煌びやかなロマンスの舞台をご紹介します。中山美穂演じる自由奔放で欲望に正直な女性・沓子と、西島秀俊演じるビジネスマン・豊がロマンスを花開かせる舞台はタイのバンコク。劇中、庶民たちの生活の場であるチャオプラヤー川から、黄金色の王宮まで、様々なタイの風景が映し出されますが、一番の見どころは、二人の密会の場であるホテル“ザ・オリエンタル バンコク”(現マンダリン オリエンタル バンコク)でしょう。世界各国の王侯貴族、セレブリティを顧客に持つ世界屈指の名門ラグジュアリーホテルが、およそ130年もの歴史の中で、初めて映画撮影を許可。ホテルでのシーンは、すべて実際のオリエンタルで撮影。優雅で風格のあるホテル内部、歴史と伝統が染み付いた重厚感のあるムード、そして美しく整えられた庭園などを存分に眺めることができます。
このホテルは原作にも実名で登場し、ヒロインの沓子は、このホテルを愛した文豪(ジョセフ・コットン、グレアム・グリーンら)の名がつけられた特別室、オーサーズ・ウイングにある“サマーセットモームスイート”に暮らす設定。それだけに、なかなかお目にかかることの出来ない美しいオーサーズ・ウイング内部、豪華ながらも慎ましさを持つサマーセットモームスイートの室内も、たっぷりと見せてくれるのです。撮影に際しては、ホテルを利用するゲストに配慮し、スタッフはみな、ホテルのドレスコードを守って正装して撮影に臨んだというのも“ならでは”のお話ですよね。
“ドレス”といえば、中山美穂が身につける衣裳の数々にもまたため息。欲望に忠実で挑発的な若き日の沓子は、常に肌を露出し、いわば男を誘う服ばかりを身につけています。男性の目を常に意識し、自分の魅力を惜しみなく披露する。
そんな彼女のセクシーな魅力を表現するため、衣裳は全体の90%がオーダーメイドだったといいます。物語がスタートした時代は1970年代ですから、露出と言っても現代のように過度な肌見せではなく、そのスタイルはあくまでもクラシカルにする必要が。しかも、沓子はザ・オリエンタル バンコクのサマーセットモームスイートの住人。安っぽくならないよう、常に素材や質感、シルエットのどこかにゴージャス感を漂わせる必要があったといいます。しかも、豊を挑発するとき、豊を本気で好きになったとき、関係が進んだとき、やさぐれているとき…と、豊との関係性が変わっていくに連れて、身につけるものの露出度、素材感、色味などが変化していくのですから、既成のものを用意するのは難しいはず。そこで監督は、中山美穂のために、実に200枚以上のスケッチを用意し、採用したデザインの服を特別に仕立てることにこだわったそう。例えば、挑発用にはゆったりシルエットの花柄ワンピースながらスケスケ、真剣な恋には少し清楚感も漂うコットンの上下で露出も少なく、やさぐれているときは夜の女風の派手な色の光ものドレスや濃厚メイク、関係が進んだときは露出がありながらも白いレース使いで花嫁を意識したワンピースをといった具合。
ロマンスの名手であるイ監督は、恋する微妙な女心を表現するのにファッションは必要不可欠だと考えて、女優の表情、セリフと同じぐらい、衣裳にも雄弁に感情を語らせたというわけですね。なるほど、中山美穂は、驚くほどたくさんの服をシーンに応じて着こなしています。これを見ていると、女心はこれほどまでに簡単にファッションから読み取れてしまうものなのかと少し不安にもなったりします。もしかして、あなたも油断していると、“うきうきしている日”“落ち込んでいる日”“勝負の日”…などと、服を通して大声を出して叫んでいたりするかもしれません。ご用心、ご用心。
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