たけし帰国会見 仏芸術文化勲章最高章は「黒澤さんが貰ったやつ、すげえ」
映画監督・北野武が3月13日(土)、フランスから帰国した。9日(火)にフランス文化省から芸術文化勲章の最高章「コマンドール」を授与されたことを受けて成田空港で会見した北野監督は、金メダルのボケを繰り出しつつ「黒澤(明)さんがもらっているならすげぇ」と喜びの心境を語った。
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取材陣の拍手で出迎えられた北野監督は「えー、フランスの文化勲章ですから、これからは日本の文化勲章と人間国宝を一日も早くもらいたい。人間国宝をもらったら無銭飲食して捕まるのが私の夢なんで。日本の文化庁のみなさん、よろしく。紫綬褒章はいらないですから」とビートたけし節。「勲章ですがこれ…」と言いながら特製らしき金メダルを取り出すと「あ、バンクーバーって書いてある。バンクーバー、関係ないか」。いきなり大ボケを効かせて取材陣を爆笑させると「バレバレだったなー、メダル出した瞬間にバレてたな」と照れて頭をかいた。
受章の報は、今回の個展と特集上映会のために渡仏した7日(日)の出発直前、所属事務所「オフィス北野」の森昌行社長から成田空港で聞かされた。「嬉しいニュースがあります」と前フリする森社長に「事務所の脱税がばれたか、山本モナの浮気現場が撮られたか、あとカミさんが死んだかぐらいかと思った」と言って困らせつつ、「ありがたいこった。それ黒澤さんももらったやつかな? と聞いたら、そうって言うから、そりゃすげぇ! って」と喜びをかみしめた。
授章式は、パリ市内のパレ・ロワイヤルに受章者が出向くのが通例だが、北野監督の場合は、北野監督の個展を開催するカルティエ現代美術財団にフレデリック・ミッテラン文化相が出向いて行われる異例のものだった。ミッテラン文化相は「来る前に揉め事があったらしくて不機嫌だった」そうだが、北野監督と通訳とともに個展を鑑賞し終わると「(作品の内容の)くだらないことを通訳されて、すごく恥ずかしかったけど、ゲラゲラ笑ってくれた。すっかり笑顔になっちゃって。あまりにくだらないから」と大ウケだったという。
同国からの勲章受章は、1999年の2等級下のシュバリエに続き2個目。会見に同席した森社長が読み上げた、フランス文化省から記した正式な受章理由は「映画監督としての活動は言うまでもなく、1つの才能を持った人ではない。人々を笑わせること、感動させることができ、怖がらせることもできる。あらゆる面で支持者を持つ。類を見ない自由さをもってモノづくりを進める直感的才能に対し、章を贈る」。
北野監督は「『たけし城』なんかがヨーロッパでかなり人気が出てきて、ネット配信やyoutubeなんかで、こういう(芸人としての)仕事をやってるって(認知が)何年か前からあって、映画監督としてはTVの映像を流されるのはヤバイかな? と思ったら、フランス人の見方は、もっと才能があるんだっていう。お笑いが悪影響を及ぼす、なんて気はなくて、この人はまだいろんなことがやれるんだって感じがあって。だからギャング映画撮っても問題ないし、バカバカしいことをやってもそれはそれとして見てくれる。気が楽になった」と感想。「日本は違う。日本は漫才師が映画撮った、みたいな雰囲気があって、松本人志が映画撮ると、“かつて映画を撮ったお笑い人”の中に必ず俺が入っている」と日本の偏見にチクリとやりつつ「そういうことじゃなく、映画は映画、バラエティはバラエティって分けてくれるんで、ありがたいのと、フランス人、個人主義で誇り高いんで、ダメなところダメだと平気で言ってくれるし、まあ気をつけなきゃ、がんばんなきゃ」と自身にはっぱをかけていた。
フランスでは10日から『アキレスと亀』が一般公開されたほか、北野監督作品の連続上映会がポンピドゥー・センターで11日から6月26日まで開催中。さらに北野監督制作の絵画やオブジェを展示した個展「Gosse de peintre - 絵描き小僧」がカルティエ現代美術財団で11日から始まり、9月12日まで開催予定。森社長は、フランスで終了後は東京での開催を「想定しています」と話した。加えて、北野監督を約7年取材してきたフランス人ジャーナリストのミシェル・テマン氏による北野監督の自伝「KITANO PAR KITANO(キタノによるキタノ)」が先月24日に発売。日本でも8月に翻訳版が発売される。芸術の都をビートたけしと北野武が席捲中の様子だ。なお、日本では最新作『アウトレイジ』が6月12日(土)より丸の内ルーブルほか全国にて公開。
《photo / text:Yoko Saito》
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